ろうさいニュース

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第1号掲載(2002年8月)
呼吸器外科で扱う病気について
呼吸器外科部長
小館満太郎

 呼吸器外科で扱っている疾患は、肺癌、肺良性腫瘍、胸壁・胸膜腫 瘍、縦隔腫瘍、胸部外傷、気胸などです。

肺癌など
   肺癌は増加傾向にあり、胃癌を抜いて、男性女性とも死亡原因の第一位となりました。したがって、肺癌の治療には早期発見、早期治療が非常に重要となってきます。当院では、ヘリカルCT、高分解能(HR)CTを用いることで、通常のレントゲンでは写りにくい淡い陰影(影)や、小さな肺癌の検出が可能になります。三次元(3D)−CTを用いることにより、気管支の腫瘍などを立体的に捉えることも可能です。磁気共鳴画像(MRI)は、周囲の臓器への浸潤や脳転移病巣の早期発見に役立ちます。また当院の充実したリハビリテーション科との連携により、手術前に十分な呼吸機能評価(六分歩行試験、肺血流シンチグラムによる予測残存肺機能)や呼吸リハビリテーションを行い、手術後の合併症を少なくするようにしています。もちろん、禁煙が第一条件ですが。

 良性腫瘍、呼吸機能の悪い方の手術、気胸などでは、大きく胸を開かずに、内視鏡を用いて手術を行う胸腔鏡手術(VATS)も導入し、患者さんにやさしい治療を目指しています。
   
胸部外傷、気胸など
   交通事故の増加に伴って、胸部外傷も増えています。また、労災事故をはじめ、作業中の転落事故などによって受傷する方も増えています。肺に傷が入ってしぼんでしまう気胸、胸の中に出血する血胸、肋骨骨折などがあります。これらはまず、胸の中にドレーン(管)を入れて治療しますが、これだけで治らない場合には手術も必要になります。また、外傷(けが)によらない気胸(自然気胸)は、若い男性に多いものですが、嚢胞と呼ばれる破れやすい袋のようなものが原因となる場合が多く、これに対しても手術が必要となる場合があります。やはり可能なら、前述の胸腔鏡手術を行う方針としています。

 このほか、胸の真ん中にある縦隔と呼ばれる部分や、胸壁(肺や心臓をとり囲む胸の外壁)などにできる腫瘍なども手術の対象になるものも多くありますので、いつでもご相談ください。

   


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