ろうさいニュース

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(ろうさいニュース第25号掲載)

続・腰が痛いということ

新潟労災病院 第3整形外科部長 保坂 登

平成10年の厚生省国民生活基礎調査からは、国民の3人に1人は何らかの腰痛を自覚しているそうです。「腰痛」につきましては、前新潟労災病院副院長 今井久一先生のお話が以前2002年9月号のろうさいニュースにも掲載されています。仲々尽きない話題ですので、今回も取り上げてみました。

 腰痛発生の原因を考えた場合、椎間板(背骨のクッション)由来、神経由来、腰背筋由来、姿勢、スポーツ、外傷、成長期の痛み、加齢現象、老年期の骨粗鬆症、感染、腫瘍性(内科的な)病変など、様々な因子があります。

 ここでは、腰痛の原因となる主な疾患を二つ説明します。

一つは、いわゆる「腰痛症」です。これは腰の筋肉の慢性的な疲労状態で、日常の生活や仕事はできるけれども、頻繁に腰が痛み、特に夕方になると痛みが強くなるといった病態です。腰のレントゲン写真では特別な異常はなく、慢性の腰痛と診断されます。健康な方々でも罹患しますし、日常の姿勢、作業姿勢、生活習慣や体型などに問題があることが多く、その治療には、腰痛に対する知識や解決にむけての自己努力も必要です。このような方々には、当院のリハビリテーション外来での「腰痛教室」をお勧めします。
もう一つは、最近増加している高齢者の骨粗鬆症に由来する脊椎圧迫骨折です。高齢者の急性の腰背部痛の3分の1は脊椎圧迫骨折が原因と言われています。はっきりした外傷や転倒の既往がなくても、畑仕事や日常生活動作がきっかけで発症する場合もあります。立ちしゃがみの際の痛みや、歩行時痛が思ったより長く続く場合や、次第に腰背部痛、肋間神経痛が増悪する場合は、一度整形外科外来受診をお勧めします。
骨粗鬆症自体は生理的な加齢現象ですが、特に女性の方は閉経前後から骨密度が低下し始めるのも事実です。整形外科外来では、骨密度検査、その結果に合わせた運動、栄養指導から薬物治療まで行っております。一度骨密度を測ってみたい、という理由だけでも結構ですので、どうぞお気軽に整形外科外来までお申し出ください。

 この他にも、腰痛をきたす疾患は様々です。整形外科外来では、毎日腰痛の診察をいたしておりますが、「腰痛」に関連した特別な悩みのある方、また、職場での腰痛対策に務めておられる方からの相談などは、「脊椎・腰痛センター」にて受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。

「腰痛教室」へのお問い合わせ     (内線)1550
「勤労者脊椎・腰痛センター」への相談 (内線)1230
 
 

 

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