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怖くない歯科治療

第2歯科口腔外科部長  松井 宏

 歯の治療は怖くて苦手だけど我慢するしかないと思っている方は、大勢いらっしゃると思います。注射(麻酔)の痛みがイヤ、歯を削るときの音が不快、「歯を抜きますよ」と言われると恐ろしい、器具が口の中に入ると吐きそうになる、などなど……。
 この恐怖心や不快感を何とかしようと、昔からいろいろと考えられています。例えば、世界で全身麻酔法が応用され始めたきっかけを作ったのは、アメリカの歯科医が抜歯の際に行った笑気麻酔であったことをご存知でしょうか。
現代では歯科治療の恐怖心を軽減させる方法には、“笑気吸入鎮静法”、“静脈内鎮静法”、“全身麻酔法”があります。“笑気吸入鎮静法”は、鼻マスクから約30%濃度の笑気ガスを吸入してもらい、5分後に鎮静状態となったところで治療を開始する方法です。笑気ガスは亜酸化窒素という成分の麻酔ガスです。名前が示すように、吸っているうちに笑ってしまいたくなるくらい、気分が楽になります。全身麻酔でも用いられますが、歯科治療では低濃度で使用するので、完全に意識がなくなることはなく安全です。吸入を止めるとすぐに回復し、普通に帰宅できます。
しかしこの方法では鎮静が弱く、効き目が悪いことがあります。この場合は、“静脈内鎮静法”を行います。これは点滴から鎮静薬を少量静脈内投与する方法です。かなり眠い状態になり治療中の記憶が残らないので、恐怖心が非常に強くても、ほとんどの方が大丈夫です。治療後しばらく休んで頂けば、帰宅可能になります。
どうしても出来ない場合、最終手段として“全身麻酔”が必要になります。障害者の方の治療では、比較的よく用いられる方法です。歯科治療は完全に終わるまでに何回もかかることが多いので、体に負担がかからないよう全身状態と治療内容を慎重に検討して行います。
今回ご紹介した方法は特別な器械・技術が必要なものがありますので、当院のような施設でないとできない場合がありますが、治療が怖くてお困りの方は一度歯科医へご相談ください。
ただし、いくらいろいろな方法があるといっても、できれば歯の治療は受けたくないものですよね。皆さん、日ごろから歯磨きを心掛けてください。1日3回、今までより2〜3分でも長く丁寧に磨くようにすれば、きっと虫歯や歯周炎になりにくくなりますよ。

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