ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

「大腸癌について

外科部長  伊達 和俊

 生活習慣の変化に伴い多くなってきた病気があります。おなかの病気では大腸癌が良く知られています。脂肪分が多く食物繊維の少ない食生活がこの癌を増やしている可能性が指摘されています。逆に運動、野菜の摂取はリスクを下げると言われているようです。要は、バランスよく摂取し適度な運動をするのが最も有効な予防法と言えるかもしれません。しかし、逆にどれだけ普段から健康に注意していてもなってしまう可能性があるのが癌といえます。やはり症状(便秘、腹痛、おなかの張り、貧血等)が出る前に発見されれば治る可能性は高くなります。それには検診で行なう便検査が有効です。毎年受診されることをお勧めします。
もし大腸癌になってしまった場合ですが、大腸癌は取り切れさえすれば比較的治りのよい癌です。癌の進行度によって治療法が変わってきます。最も早い段階(I期の一部)であれば大腸内視鏡で取り切ることができます。当院内視鏡診療センターで積極的に施行しております。少し進行してきた(I期の一部とII期)患者さんでは腹腔鏡による腸切除を施行しております。これはおなかに小さな穴を開け、腹腔鏡手術用のカメラと器具をおなかの中に挿入し手術をする方法です。この方法は小さな傷で手術できることより体に負担が少なく、回復が早いといったメリットがあるため当院でも積極的に行なってきております。さらに進んだ癌(III期)に対しては通常の開腹手術を施行しております。III期の場合、再発が30%程度あるため、手術後に患者さんとよく話しをした上で再発予防のため抗癌剤の投与を行なうことがあります。当院は外来化学療法室を設置し安全で有効な抗癌剤投与を外来で行なう体制を整えており大腸癌手術後の抗癌剤投与も多くはここで施行されております。IV期(肝臓や肺に転移がある状態)の場合は手術だけでは完全に取り切れないことが多く、抗癌剤治療を施行しております。最近の抗癌剤の進歩は著しくIV期の患者さんにも効果的な治療法(FOLFOX、FOLFIRI療法等)が次々に開発されており、当院でも多くの方に施行し効果を得ております。
 これら治療法は「大腸癌治療ガイドライン」に沿って行なっており、さらにはNCCN 等海外の情報も参考にしながらその時期で最良の患者さんに最も合った治療法を選択しております。気になる点があればいつでもご相談ください。

このウィンドーを閉じる