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ア ウ ト ブ レ イ ク

外科副部長  福 島 正 之

 1995年作映画「アウトブレイク」は、未知のウイルス(エボラ出血熱を連想させる)が流行し、猛威をふるうという恐ろしい映画であった。確かに、現在の感染症は、グローバル化し、SARSや鳥インフルエンザがアジアにて流行したのも目新しい現実である。
  当病院にてもインフェクション・コントロール・チーム(ICT)が立ち上げられた。かといって、上に述べたようなアウトブレイクが発生したからではない。
  最近の医療現場の流行として、チームがある。栄養サポートチーム(NST)や緩和ケアチームなどが当院にも設立され、医師主導の医療から多職種によるチーム主導の医療が求められている。
  今回、立ち上げられたインフェクション・コントロール・チームは、病院感染対策を目的としている。@耐性菌・血液培養サーベイランス(当病院における使用抗菌剤に対する耐性株の出現と伝播に関する情報を的確に把握すること)、Aアウトブレイクの早期検知、Bより迅速かつ的確な感染対策・予防措置の施行である。
  最近、外科でも感染対策として、手術部位感染(surgical site infection,SSI)サーベイランスを開始した。手術部位感染とは、外科手術後に手術部位に発生する手術に関連した感染である。このサーベイランスは、まず手術臓器別に分類した上で@手術創の清潔度(清潔創・準清潔創・汚染創・化膿感染創に分類)、A手術時間、B患者の術前全身状態、C手術創の感染部位(切開部表層のSSI・切開部深層のSSI・臓器/腔のSSIに分類)D病原体などのデータを集積し、解析する。
  まだ、データ集計を始めたばかりだが、数字にしてみると意外と創部の感染(切開部表層のSSI)は多いことが分かった。創部の感染は、目に見える部位の感染なので患者さんのショックも大きいようだ。手術部位感染を起こさないという手術医への意識付けを行うため、手術部位感染発生率をフィードバックする必要がある。 
 また、手術部位感染発生率低下を図るため、体の中の残る糸は吸収糸を使い、絹糸膿瘍を起こさないようにしている。手術中は創縁保護器具を使用し、手術終了時に創部洗浄し、創部感染の予防に努めている。
  当院のインフェクション・コントロール・チームと外科での手術部位感染に対する取り組み・現状について記事を寄せさせていただきました。

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