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台所や立ち仕事が億劫になる病気について

第3整形外科部長  保 坂  登

 今回は、腰痛や坐骨神経痛症状の原因となる腰部脊柱管狭窄症について説明します。最近では、テレビ司会者の「みの もんた」さんが、この病気(腰椎変性すべり症といって、脊柱管狭窄症の一種です)で手術されて以来、病名が大変有名になりました。

背骨は年齢的な変化で潰れたり、曲がったり、すべったり、勝手にくっついたり体が固くなったりします。それ自体は病気ではなく、正常な加齢(老化)現象ですが、背骨の中の神経の通り道が狭くなります。神経の圧迫(狭窄)が強くなると、症状(坐骨神経痛、歩行障害、いやなシビレ痛み、下肢の麻痺、筋力低下、重症では排尿排便障害)が出てきます。

狭窄症は昔からあった疾患ですが、高齢化、健康寿命の延長に伴って、症状が出る方が増えています。時期や日によって痛みの波があり、立ち仕事や歩いている時に症状が目立ちます。また、自転車や車は乗れるのに、夕方になると台所に立つのがつらくて、つい口ばかり使うため、他人に「のめしこいてる」と思われやすく、本人にとっては、歯がゆい状態が続きます。

また、活動性の高い、元気な方が訴えやすいので、本人にとっては不本意な生活を強いられるのですが、他人が見ると、「そんなに困っているの?」と思われ易いです。

腰部脊柱管狭窄症の治療法は、軽い症状なら今までの外来通院での内服、点滴などで症状とつきあっていける場合が多いです。また病院でなくても、民間療法や温泉に入ったりで(つまりは、自分で無理しなかったり、生活のなかで調節したり)様子をみていても改善する場合もあります。
一般に手術適応は、激しい痛みや歩行障害の継続、生活レベルの著しい低下、下肢の麻痺悪化、排尿排便障害などが出る場合などです。

また、痛みが自制内でも仕事や生活に支障が出るので、結果的に手術選択をされる患者さんまで様々な個人の都合があります。つまりは本人の活動レベルの質で決まります。 

     手術方法は、主に神経除圧術を行います。これは、顕微鏡視下に安全に、神経の通り道を広げ、神経の圧迫を逃がしてあげる手術です。術後は1〜2日程度で起きてリハビリを行います。抜糸をしたら退院できます。重症の患者さんや高齢の患者さんは、少しリハビリを継続する場合もあります。

     思い当たる症状があるようでしたら、最寄りの整形外科医院や当院の受診もお考えください。

     この他にも、腰痛をきたす疾患は様々です。整形外科外来では、毎日腰痛の診察をいたしておりますが、「腰痛」に関連した特別な悩みのある方、また、職場での腰痛対策に務めておられる方からの相談などは、「脊椎・腰痛センター」にて受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。

    「腰痛教室」へのお問い合わせ     (内線)1550
    「勤労者脊椎・腰痛センター」への相談 (内線)1230
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