ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)について

スポーツ整形外科部長  田 西 信 睦

 今回はひざの手術の話をします。
 毎日、整形外科外来にひざを痛がるご高齢の方がたくさん受診されます。レントゲンを撮るとほとんどの人に変形性膝関節症の所見が認められます。これはひざの老化で関節軟骨がすり減った状態です。(原因は多因子で未だ研究中ですが、ここではわかりやすくひざの老化とします。)
 治療は、痛み止めの内服薬、湿布や塗り薬、ヒアルロン酸の関節内注射、足底板などの装具療法、自宅での太ももの筋力訓練などを外来通院で行っています。

 しかし、ひざの老化が進行して関節軟骨がすり減り切ってしまい土台の骨が露出してくると非常に強い痛みとなり、外来でできる治療ではうまく痛みを抑えることができなくなります。
 当院ではこのような痛みの強い進行した膝関節症のご高齢の方(多くはO脚の70代)に人工膝関節置換術を行っています。この手術は、ひざの前面を15cmくらい切開し、関節の骨を必要な分だけ切除して金属の人工膝関節に入れ替えます。術後、ひざの動きは手術の前と同じくらいですが、歩行時の痛みは非常に軽くなるため日常生活はたいへん楽になります。
?手術の1週間くらい前に入院してもらい術前のリハビリテーションをまず行います。そして下半身麻酔(腰椎麻酔)で手術を行い、翌日からリハビリテーションを始め、術後1ヶ月くらいでほとんどの人が退院しています。退院後に通院でのリハビリテーションは不要です。
 当院では昨年は57例の人工膝関節置換術を行いました。県内では手術症例数の多い施設です。医師をはじめ病棟、手術室、リハビリテーションとも経験を十分積んだスタッフが揃っています。
 基本的にご高齢の方を対象として行う手術ですので、心臓や肺などに重い病気を持っている方は手術できない場合もありますが、強いひざの痛みで困っている方はまずは整形外科医にご相談下さい。

このウィンドーを閉じる