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MRIのおはなし ー3Tへの発展ー

放射線部 主任放射線技師  金 澤  勉
(磁気共鳴専門技術者)

 MRI(核磁気共鳴装置)は1980年代初期に、国内で臨床応用が始まり約30年が経過しようとしています。この間、大変な技術進歩があり、画像診断機器の中でも最も大きく変わった装置です。そのMRIが14年ぶりに更新され、最上位機種の3TMRIが上越地域で初めて当院に整備されました。
MRIは放射線科で扱う画像診断機器ですが、放射線を全く使わないので放射線被ばくがありません。最大の長所だと思いますが、では何を使っているのかと言いますと、磁石と電波の力で画像を造っています。この磁石の力を静磁場と呼びますが、この単位にT(テスラ)を使い、1.5Tとか3Tとか言っています。3Tは超高磁場と呼ばれ、現在通常の病院で使える最高位に属する装置です。従来使用していた1.5Tより倍の静磁場の強さがあり、大変画像が鮮明に映し出されます。
 この3TMRIをよく眺めてみると、まるっこくて小さく、とてもかわいい形をしています。お腹の撮影では、頭が反対側に出そうなくらい奥行きが短く、狭いところが苦手で検査が出来なかった人には、とても良いと思います。
 この3TMRIの最大の特徴は、従来の1.5Tの装置に比べて、細かいところまできれいによく見えるということです。呼吸の動きが少ない脳外科、整形外科領域では特に有用ですが、それ以外の部位でも、従来の装置に比べて比較にならないほど鮮明な画像が撮れます。加えて、この3Tでしか見ることが出来ない検査も多数あり、例えば、脳、乳腺、前立腺腫瘍等の細胞の代謝情報をみたり、造影剤を用いず頭蓋内の脳の血流情報を得たり、PET様の画像を撮影したりすることが出来ます。
以上の様に、なりは小さくても性能は抜群。これから、とても期待しています。今後、従来から取り組んでいたように、脳の疾患が疑われる患者様に対して、24時間休むことなく3TMRIを稼働させていきます。日本国内では、さきがけとなると思いますが、放射線部全体で一歩一歩実績を積み上げ、患者様に正確で素早い医療を受けて頂く様努力して行きたいと思います。

 

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