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“口腔ケア”をご存知ですか?


第2歯科口腔外科部長  松 井  宏

 急速に進む高齢化社会。介護が必要な方が増加していることは、周知の事実です。その状態は人によって様々ですが、生きる源としての栄養は、できるだけお口から摂ってもらいたいものです。そのためには、お口のお手入れがかかせません。
 お手入れの基本といえば、“歯磨き”を連想されると思いますが、それだけではありません。お口の中の粘膜の清掃、口の乾きを抑える口腔保湿剤の使用なども重要です。また、歯科医院へ受診して、歯石の除去や虫歯の治療をしてもらったり、義歯の調整・修理なども受ければ、口腔の病気が予防できます。さらには、摂食・咀嚼・嚥下訓練に考えを広げると、より充実した口腔の機能の向上が期待できます。これが“口腔ケア”の定義です。つまり“口腔ケア”とは、「口腔の疾病予防、健康保持・増進、リハビリテーションによりQOL(quality of life)の向上を目指した科学であり技術である」のです。(“日本口腔ケア学会”より)
 といっても、介護が必要な状態の方が、歯科医院へ受診することは大変です。その場合は、訪問診療・訪問口腔ケアをしてもらえる先生を探してみてはいかがでしょうか。かかりつけの歯科医院や、上越歯科医師会・訪問口腔ケアセンターにご相談なさって下さい。
 一方、口腔ケアの重要性は、癌の治療においても重要視されています。一般的に癌の治療には、手術・化学療法(抗癌剤による治療)、放射線治療があります。手術は大きな侵襲を受けることがあるので、手術前後はお口のお手入れどころではない、と思われるかもしれません。しかし、この時期にしっかりと口腔ケアを行うことで、手術後の様々な感染を予防でき、引いては入院期間の短縮につながるという報告が多くあります。また、化学療法・放射線治療は、それによって口内炎が発生する場合があり、とてもつらい思いをされる方がいます。これも治療前から口腔ケアを行うことで、その発生や拡大を最小限に抑えられると言われています。
 お口の中は、人によって違いがあります。歯が沢山残っていらっしゃる方もいれば、総入れ歯の方もいらっしゃいます。ですから口腔ケアのやり方も、人によって多少違いがあります。お困りの際は、歯科医師にご相談下さい。

   
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