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内視鏡的胃内バルーン留置術について


消化器内科部長  前 川  智

 肥満は糖尿病、高血圧、高脂血症、膝関節症などの原因となり、最近ではがんの発生頻度も増すといわれています。肥満治療の基本は食事療法であり、当科では2010年7月より「ダイエット入院」という低炭水化物食を中心とした内科的治療を行い、6か月間で11〜12%程度の体重減少効果を認めています。ただ、高度肥満の方は、食事療法のみでは、ある程度で頭打ちとなり、理想体重に達しないケースもあります。
  そこで当科では、1980年代後半から欧米を中心に施行され、内科的治療と外科的治療(手術)の中間に位置する「内視鏡的胃内バルーン留置術」を開始しました。「内視鏡的胃内バルーン留置術」は、経鼻内視鏡で観察しながら、胃内にシリコンでできたバルーンを入れ、その内部を生理食塩水でみたし、そのまま胃内に6か月間留置する治療です。この治療の目的は、胃の容積を小さくするのみならず、胃内容の排泄を遅らせることで、食事摂取量を減らし、体重を減少させることです。「内視鏡的胃内バルーン留置術」では、6か月間に約20%の体重減少が得られるといわれています。簡単な麻酔のみで行われ、身体に傷も残らず、通常の胃カメラの感覚で実施される20分程度の治療です。
 当科では、半年以上の内科的治療である程度減量を維持できている20〜79歳の患者さんで、BMI(体重kg ÷(身長m)2)が27以上の方を「内視鏡的胃内バルーン留置術」の対象としています。バルーン留置後4〜5時間後から約2日間、吐き気や嘔吐などの腹部症状が持続することが多く、流動食による食事療法および点滴治療のため、23の入院加療を行っています。「内視鏡的胃内バルーン留置術」は自費診療であり、出来るだけ経費を少なくし、材料費、薬剤費、食費、部屋代など全て含めて29.8万円としました。
 食事療法のみでは十分に肥満が改善しない方は、是非当科で「内視鏡的胃内バルーン留置術」をうけてみませんか?

 ご質問のある方は、naishikyo@niirou.jp までメールしてください。

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