ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

前立腺癌の診断と治療
〜 受けていますか? PSA検診 〜


泌尿器科医師  羽 場 知 己

 昨年の市民公開講座を担当した際に、大変多くの方々に来場していただきました。治療を必要とする前立腺癌の早期発見の機会を、今後も多くの方々に持っていただくために同じ題での記事としました。泌尿器科領域で治療を行う癌の中で、前立腺癌の占める割合は大きく、その特徴として、進行が比較的早く早期に治療を開始する必要がある癌から、進行が比較的緩やかな癌まで開きがあることが挙げられます。治療を必要とする癌を、なるべく早期に発見するための方法として、簡単な血液検査でわかる「PSA検査」が用いられています。
 PSA検査の感度(癌が実際にある人のうち、検査で癌が見つかる確率)は、8割以上です。そのため当科では、PSAが基準値を越えた方には精密検査(MRIや前立腺針生検)を勧めています。治療の必要な前立腺癌を検出するためには、1回のPSA値だけで決めることはないのですが、PSA値の動きを考慮して、PSA値が基準値以下でも精密検査を勧める場合もあります。逆に、進行が緩やかであると予想される場合には、年齢や全身状態、さらに治療や検査による身体的負担を考慮し、基準値を越えていてもすぐには精密検査を勧めない場合もあります。
 当科では、PSA検査などで要精密検査と判定された方のうち、1年間で約100例の前立腺針生検を行っています。生検を行った方のうち、約40%に前立腺癌が発見されています。そして、癌の見つかった半分の方で手術を行っています。前立腺癌の治療は手術以外にも、放射線療法やホルモン療法などがあり、癌の進行の程度や本人の全身状態や希望によって、ケース・バイ・ケースで治療法を決定しています。  PSA検査を受けるためには、(1)検診の際に「前立腺癌の検査」を追加する、(2)ドック検診を受ける(「ろうさいニュース」内に前立腺癌検査が含まれた1日コースを案内しています)、(3)かかりつけの医院での血液検査の時に「前立腺癌の検査」を追加してもらうなどの方法があります。
 一家の大黒柱として働き、健康な老後を過ごすためにも、特に働き盛りの方々に一度はPSA検査を受けていただきたいと考えています。

このウィンドーを閉じる