ろうさいニュース

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セカンドオピニオン


第2呼吸器外科部長  鬼塚 貴光

 当院で毎月発行している「ろうさいニュース」の7ページ目の上段に「専門外来診療」のお知らせがあるのをご存知でしょうか。当院では「肺がん・縦隔腫瘍」「胃がん・大腸がん・肝がん」「乳がん」「がんの放射線治療」のがん治療に関する「セカンドオピニオン外来」を開設しています。今回このセカンドオピニオンについてお話しします。
 セカンドオピニオンとは診断や治療方針について主治医以外の医師の意見を求めることを言います。主治医から説明(インフォームドコンセント)を受けても情報も知識もない患者や家族にとっては戸惑うばかりで、すぐに納得して治療法の決定をできる方は殆どいません。知識を持っている人に相談し意見を求めたいと希望することは至極当然なことと言えます。最近はインターネットが普及しここで情報を集めることもできますが、玉石混淆した情報が氾濫しており、この中から自分に相応しい情報を見極めることは容易ではありません。まずは主治医とよく話すことが大事ですが、診断に納得がいかない、治療の決断がつかないときは別の専門医に意見を求めるセカンドオピニオン制度を利用されてみたらいかがでしょう。
 ただこの制度を上手に利用するために知っておいてほしいことが幾つかあります。(1)まず主治医に診療情報提供書と画像血液などのデータを準備してもらう必要があります(料金が発生します)。意見を求められた医師はこれまでの診療経過や病状の推移を把握しなければならないからです。またセカンドオピニオン外来は「診療」ではなく「相談」になるため、健康保険給付の対象とならず全額自己負担となります(保険医療機関を受診し、保険証を提示して一般外来での保険診療を希望した場合は保険診療の取扱いとなります)。(2)そして何のために誰に意見を求めるのか、目的を明確にすることが必要です。そうでなければ徒労に終わってしまうことがあります。「同じ話を漫然と聞かされた」「違う意見を聞いたけれどどっちが良いか分からなくなった」など、よくある話です。セカンドオピニオン受診する前に予習をし、何を明らかにしたいかメモを取って行き、そして最後に聞きたいことを聞けたか振り返ります。(3)次に聞いた情報はそのまま主治医に伝えましょう。何かしら別の治療情報が提示された場合、主治医はそのセカンドオピニオンに対してメリットとデメリットを提示してくれます(=サードオピニオン)。それらの意見を聞きながら自分に相応しい治療を検討することで納得のいく治療に繋がります。
 主治医との関係がこじれるのではないかと心配してセカンドオピニオンを言い出せない方もいると思いますが、今や殆どの医療機関で患者の権利として「自己決定権」を保証しているはずですから遠慮は無用です。逆に納得のいく治療を行うためには患者・家族と医療者間の信頼が必要で、本音で通じ合う人間関係を構築していくことは双方の責務と言えます。

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