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レビー小体型認知症


認知症看護認定看護師  村田 悦子

 平成23年の厚生労働省の発表によると、高齢者人口は2980万人で総人口の23.3%になりました。また、65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍と言われています。なりたくない病気の上位にランク入りする認知症ですが、超高齢化社会では避けて通れない病気であるとともに、まだまだ知らないことが多い病気ではないでしょうか。
 認知症といえばアルツハイマー型認知症を思い浮かべる人が多いと思いますが、その他に代表的なものでレビー小体型認知症があります。昨年、NHKの「ためしてガッテン」という番組で取り上げられたことがあり、ご覧になった方もいらっしゃると思います。そこでは第2の認知症と紹介されています。
 レビー小体型認知症の患者数は推定80万人、高齢の認知症患者の5人に1人がこのタイプと考えられます。レビー小体という特殊な物質が、大脳全体に出現したもので、三大症状として、(1)パーキンソン症状 (2)リアルな幻視 (3)変動する認知機能があげられます。(1)パーキンソン症状とは、手のふるえや小幅歩行・身体が固くなるなど、パーキンソン病に似た運動障害です。次に(2)リアルな幻視とは、本人だけに見える、ありありとした具体的な幻です。これは、大脳の後頭葉が担当する視覚に関係する働きが低下したことによるものです。(3)変動する認知機能は、記憶などの認知機能が午前中ははっきりしていたのに、午後はボーとするなど、一日の間や週や月などで変動することです。その他にも、自律神経症状(がんこな便秘や失神・うつ症状)、レム睡眠行動障害(睡眠中に大声で叫ぶ、手足を激しく動かす)などがあります。幻視に関しての対応方法の例としては、否定をせずにどのようなものが見えるかを聞き出し、見ている物が別の物に変わって見えているようならば、取り除くか見えないようにすることもいいと思います。
 レビー小体型認知症の診断は、さまざまな研究がされていますが非常に難しく、薬剤の過敏性もあり治療も困難な点があります。
 認知症の人が安心して暮らしていくには、かかわる人の一人が頑張っても効果的ではありません。認知症は脳の働きが低下した病気です。自分や家族が認知症になったら、周囲の方たちに話しをすることで、協力や情報が得られることがあります。お互いさまの心を大切に、住みやすい環境の上越地域にしていきたいと思います。
 最後に一言。
“よい記憶力は素晴らしいが、忘れる能力はいっそう偉大である”エルバード・ハバード

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