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気胸(ききょう)について


呼吸器外科部長  岩浪 崇嗣

皆さん気胸という病気をご存じでしょうか?気胸とは肺から空気がもれて、胸腔にたまっている状態をいいます。空気が漏れてたまっても、胸は肋骨があるために風船のように 外側に膨らむことはできません。その代わり、肺が空気に押されて小さくなります。つまり、肺から空気がもれて、肺が小さくなった状況が気胸なのです。

症状として胸痛や呼吸苦、咳などが出現します。空気が大量に漏れると、肺がしぼみ、さらに心臓を圧迫してショックになることがあります。また、健康診断などで偶然見つかる場合もあります。気胸の原因としては囊胞の破裂が考えられます。囊胞の破裂は気圧の変化が発生する登山や飛行機搭乗などや物理的な衝撃で生じるといわれています。囊胞がなぜ出来るかははっきりとわかっておりません。好発年齢は2相性で20歳台と60歳台にピークを認めます。若年者の原因は不明なことが多いのですが、高齢者では喫煙などで気腫肺が基礎にあることが多いようです。気胸の評価は胸部レントゲンにて肺の虚脱具合で、軽度、中等度、高度に分類されます。初発気胸の場合、軽度の治療としては安静ですが、気胸の再発率は50%程度認めます。中等度以上では入院の上、胸腔ドレナージを行い、肺をふくらませる方法をとります。それでも治らない場合は手術を行うことになりますが、胸腔ドレーンだけでは30%の再発を認め、手術を行うと再発率を10%程度に下げるといわれています。当科では患者さんの症状・状態だけではなく、社会的背景も踏まえて治療方針を立てています。最近、手術は胸腔鏡下の低侵襲手術で行うことが多いため、積極的に手術治療を行う傾向にあるようです。なお、気胸は再発する病気で、再発気胸に対しては積極的に手術を行います。

当院では気胸の患者さんの多くは20歳台で、手術より2日後には退院となる場合が多い状況です。術後の疼痛なども比較的少なく、早期の社会復帰が実現できています。症状は胸痛・呼吸苦・咳など特徴的なものはなく、ありふれた症状ばかりですので、若年者やヘビースモーカーの人がそのような症状を呈していた場合は気胸を疑ってみてください。

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