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精神栄養学って知っていますか?


栄養管理室長  平田 雅子

うつ病など精神疾患の治療は現在、薬物療法、心理療法中心ですが、食生活と関係することを示すデータが欧米で急増中とのこと。治療法、予防にどう生かせるか、日本人、日本食ではどうかなどまだまだ未知数ですが、「精神栄養学」として注目されています。昨年そんな講演を聞く機会がありました。

 これまでにわかっていることをいくつかあげてみると、①うつ病の患者さんは平均してみると肥満傾向、うつ病は肥満になりやすく肥満はうつ病になりやすいという関係あり。②魚油に含まれるEPА、DHАが脳内でうつ病の改善に有効な「神経栄養因子」を増やすことがわかってきており、魚をよく食べる人にうつ症状が少ないというデータあり。③魚だけではなく肉、卵、大豆製品など良質なたんぱく質に含まれるアミノ酸は神経伝達物質の原料となる。④ビタミン、中でもB₆、B₁₂、葉酸、また鉄、亜鉛などのミネラルの欠乏もうつ症状を呈しやすいとの指摘あり。⑤腸と脳は密接に関連。毎日のヨーグルトや乳酸菌飲料で腸内細菌のバランス改善がストレス改善に有効。⑥緑茶をよく飲む人はうつ症状が少ないというデータあり。緑茶にしかない成分テアニンには精神安定作用あり。

 ということは・・・魚、肉、卵、豆腐、野菜、乳製品、バランスよく食べ標準体重を保つ・・・まさしく生活習慣病を防ぐ食事が精神的疾患にも有効のようです。生活習慣病がうつのリスクを高め逆にうつ病の患者さんは糖尿病、高度肥満、脂質異常などの身体的合併症を併発しやすい傾向にあるそうです。日頃栄養指導に来られる患者様の中にもこのような傾向の患者様が少なくないと感じていました。「バランスのよい食事を適量」という私たちの栄養指導が少しでも貢献できることがわかりよかったです。

 疾病と栄養については次々と新しいことがわかってきています。栄養学は奥が深く、日々勉強です・・・。

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