飲み会に参加し、大酒を飲み、酔って帰る。朝起きると、どうやって帰ったかの記憶は無く、頭と喉が痛く、口の中が乾ききっており、大慌てで水を飲み、「死ななくて良かった」と考える。妻に「でかい口開け、大イビキだったわよ」と言われる。これこそが「口呼吸」をした証拠であり、その日を境に風邪をひくことになる。
人間は生きるためのエネルギーを得るとき、2本の管に頼っている。1本は口から肛門までの管であり、ここに食物が入り、そして出る。もう1本は空気が入る鼻から肺への管だ。こちらは入り口、出口が同じで、途中で体に酸素を供給する。この2本をどう使い、何を入れるか。これが健康を保てるか、病気になるかの勝負の分かれ目である。哺乳類の中で、言語という機能を持った人間だけが口からも空気を肺へ入れることが出来るらしい。タバコも「口呼吸」で吸える。簡単に断ずれば、「口呼吸」が病気を体に呼び込む。つまり健康を保つためには「鼻呼吸」という身体の使い方をしなくてはならないわけだ。鼻から吸って鼻から出すのだ。鼻から吸った空気は鼻腔を通ることで、異物が除去され清浄となり、暖められ、湿っている。上鼻甲介という脳の近くを通るので脳の冷却も行われる。鼻腔粘膜の異物除去作用を侮ってはいけない。相当な面積を持つ上に高性能である。細菌・ウイルス・粉塵・花粉などを含む外気は必ず鼻から入れる。出す時も鼻からだ。安易に口から出すと、湿気・体温が外に奪われてしまう。ため息も鼻からだ。しゃべる、運動中に体の熱を逃がす時以外、吐くのは鼻からだ。歯磨きの時も「鼻呼吸」。歯の治療時も「鼻呼吸」だ。食事を飲み込むまでは決して口を開かない。故に早食いは不可能となる。口に食べ物を入れたまま喋るのは言語道断だ。眠るときは口テープ(私は中央、左右に3本、サージカルテープを使う)。24時間、とにかく外気を舌や奥の喉に一瞬たりとも直接触れさせない根性が必要だ。健康を保つための根性である。口で吸った息は、肺に直接入る。ウイルス・細菌・アレルゲンで汚れているだけでなく、冷えているので、肺・横隔膜を冷やし、腸管も冷やす。脳の冷却は行われない。それに対し、鼻で吸った息は、清浄なだけでなく、肺・横隔膜を温め、最後は腸管を温める。すなわち、炎症はすべて「口呼吸」の空気が起こす。「口呼吸」が習慣で「鼻呼吸」が出来ないヒトも世の中にはかなり多数存在する。口をいつも少しぽかんと開けているヒト達だ。捜せば必ず何か病気がある。しかし「あいうべ体操」で舌を鍛え、口テープをすれば必ず治せるので信じて実践したい。これは鍛錬なのだ。最近、日本中でマスク使用者を多数見かける。他人や自分の健康を守るはずのマスクには鼻・口・喉を潤す効果がある。しかし、外気を取り入れ鼻全体をマスクの外に出さない限り、「鼻呼吸」のみでは暑くて苦しい。つまり、長時間マスク使用者は、隠れた「口呼吸」者なのだ(論文ではa
mouth breather in daytime [MBD]、すでに世界的用語だ)。日課のようにマスクを付け続けると感染・アレルギーに弱い鼻となり、鼻呼吸が出来ない大人となり病気を呼び込む。さらに脳がクールで無いところが寂しい。
「鼻呼吸」で自分に起きた奇跡を病理診断科、川口に報告して欲しい。髪の毛が生えてきた、白髪が改善した、髪に腰がでてきた、皮膚症状が無くなった、便秘が治り理想のうんちが出た、鼻が通った、肩こりが治った、朝の頭痛が無い、起きたときの疲れの取れ方が違う、など、などである。
鼻粘膜の異物除去機能を考え、1日20本、1年で牛乳瓶1本分、肺に付着するタールと発がん物質に思いを馳せると、健康のためには「たばこも鼻から」と言い切れる。
以上、健康に対する「鼻呼吸」の重要さは、今井先生らの考え方で、私はそれを参照し、ただ書いただけです。もちろん私も実践し、実感を得ています。以下に参考書籍・文献を挙げます。
(1)あいうべ体操と口テープが病気を治す! 鼻呼吸なら薬はいらない 今井 一彰 (著)
(2)がんが自然に治る生き方―余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと ケリー・ターナー (著)
(3)口の中をみれば寿命がわかる: 口腔内細菌が引き起こす、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、認知症 波多野尚樹 (著)
(4)医者は口を診ない、歯医者は口しか診ない 医科歯科連携で医療は大きく変わる 相田 能輝 (著)
(5)免疫力を高める生活―健康の鍵はミトコンドリアが握っている 西原克成 (著)
(6)舌は下でなく上に “舌の吸盤化”で、あなたの脳力・人生が開花する! 宗廣素徳 (著)
(7)あなたの人生を変えるスウェーデン式歯みがき──1日3分・ワンタフトブラシでお口から全身が健康になる! 梅田 龍弘 (著)
(8)PLoS One. 2015 Apr 27;10(4). Association between Mouth Breathing and Atopic Dermatitis in Japanese Children 2-6 years Old: A Population-Based Cross-Sectional Study. Yamaguchi H et al.
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