人類が二足動物となって以来、腰痛は宿命の病と称され、生涯で実にその8割に発生するといわれています。
また、平成25年厚生労働省の国民生活基礎調査では、「腰痛」でお困りの方は男性では第1位、女性では第2位となっています。以上のことからも、多くの方が腰痛で悩まれていることがうかがわれます。
腰痛の症状で①転倒、転落などの外傷後の痛みで日常生活に支障が出る。②臥位でじっとしていても痛い、楽な姿勢がない。③強い痛みが臀部から膝より下まで放散する。④会陰部周囲のしびれや灼熱感あるいは尿が出づらいことがある。⑤足の脱力がある。などがありましたら、骨折などの重大なけがや病気の場合があるので、すぐ医師にかかりましょう。
では、医師から、いわゆる腰痛症(非特異的腰痛:ぎっくり腰、筋・筋膜性腰痛など原因がよくわからない腰痛症)と診断された場合にどのように腰痛とお付き合いしたらよいでしょうか?
痛みがある時の過ごし方は、痛みに応じて活動することが望ましいと言われています。ぎっくり腰で安静にしていた人(安静群)と痛みの範囲内での活動していた人(活動群)を比較すると安静群の方が翌年にぎっくり腰を再発するリスクが3倍以上高い結果がでたそうです。また、ストレスのない単純な持ち上げ動作のパターンと計算課題を与えてストレスをかけるパターンで椎間板にかかる圧縮力を測定した結果、心理的なストレスのかかる課題を与えた時の方が、椎間板への負担がさらに高まることが明らかになりました。
筋疲労・精神的疲労に対しての応策としては、ストレッチングとウォーキングがお勧めです。ストレッチングの注意点は、①息を止めずに痛くなる手前でやめる。②伸ばす時間は15~20秒、回数は1~3回程度。笑顔を忘れずに行います。ウォーキングの効果は、①血流が増加して筋肉が活性化する。②汗をかけば体内エンドルフィン(鎮静作用がある)が増加し痛みを軽減させる。③リラックスして気分がよくなる。などがあげられます。
痛みがあるから「できない」ではなく、痛みがあっても「できる」という自信が大事です。私も腰痛とうまくつきあいながら仕事を続けています。
また、労働災害の中で圧倒的多数を占めるのも腰痛です。当院では企業に出向き、腰痛予防教室を行っています。職場で腰痛にお困りでしたら、当院医事課へご連絡ください。
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