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細胞診検査について


病理診断科 主任臨床検査技師・細胞検査士  小澤 博幸

当院病理診断科では病理組織検査と細胞診検査を主な業務としています。両検査共に皆さんに直接お目にかかることが少ないために患者さんは勿論、他部署の職員に対しても馴染みが少ない部署となっているのではないでしょうか。なかでも『細胞診検査』という言葉はなんとなく聞いたことはあるが、実際にどのような業務であるかを知っている方は少ないのでは?と感じています。

『細胞診検査』とは簡潔に言えば、例えば患者さんから採取された尿や喀痰等には少なからず剥離した細胞が存在します。それらの細胞に対して特殊な作業(集細胞・固定・染色等)を経て作製された標本を顕微鏡で観察して注意すべき細胞(主に癌細胞やその他の特異的な細胞)を探し出す仕事だと考えてください。これは検体採取時の患者さんへの負担が少ない検査の1つとなっています。

人体には正常細胞の種類だけでも200種類程度存在しています。そしてそれらの細胞ごとに多くの種類の良・悪性疾患が存在しますので、判別を要する細胞の数は膨大なものとなってしまいます。また、施設間や検査士間の細胞判断基準のかい離を最小限にする為に各診療科および各臓器別に取扱い規約があり、細胞の判定方法に対しても標準化が進められています。

実際、顕微鏡で観察する際のプレパラート(ガラスの板)は細胞を貼り付けるエリアが横6cm縦2.5cmの大きさで、そのガラスの上には、通常では数万〜数十万、時には数百万の細胞が存在します。しかし、見つけるべき癌細胞が一枚のプレパラートに数個しか存在しない時があり、判断に苦慮することがあります。また悪性細胞をチェックするだけではなく、炎症の程度や種類、感染症の有無等の判定も業務の一つとなっています。

当科には2名の細胞検査士が勤務しており、日常業務中でも必要があれば両検査士によるダブルチェックを行い、速やかにその症例について検討を行っています。さらに当院には細胞診専門医も常勤していますので私たち細胞検査士がスクリーニングを行って検討した細胞を最終的に専門医が良・悪性の診断をするという業務の流れとなっています。

最初に述べたように患者さんと接する機会が少ない当部署でありますが「標本これ人なり、真心を以て接すべし。技術これ美なり、努力を以て磨くべし。診断これ命なり、責任を以て臨むべし。」 これは恩師の請け売りではありますが、この言葉を心に留め、院内・院外問わず各セクションと連携を密にして業務を努めていきます。

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