今回は、1年ほど前に装置が更新され短時間に詳細な画像が撮影できるようになった「核医学検査」についてお話したいと思います。
核医学検査とは、ラジオアイソトープ検査、またはRI(アールアイ)検査)とも呼ばれ、微量の放射性同位元素(Radio Isotope:ラジオアイソトープ)を使用し各臓器の機能を調べる検査です。身体の中で特徴のある動きをする薬剤に微量の放射性同位元素をつけて体内に投与し、その後集まったところから放出される微量の放射線をとらえて画像化する装置が今回更新されたガンマカメラです。
検査により薬が異なり、甲状腺の機能を反映したもの、肝臓の機能を反映したもの、血液の流れを反映したものなど他にもたくさんの薬があり、中でも最も多く検査されている検査が「骨シンチ」です。使われる薬は、骨の代謝や反応の盛んなところに集まる性質を持ち、それを利用して骨腫瘍や骨転移、骨の炎症、骨折などが診断できます。骨以外の組織の腫瘍や炎症の検索はGa-67を含む薬を利用する「ガリウムシンチ」で検査します。
骨シンチやガリウムシンチは全身検索ですが、臓器に流れる血液の量を調べる検査もあり、当院で行っているのが「脳血流シンチ」です。血液の流れる量に比例して脳組織に取り込まれる薬を使用し脳の血流を知ることができます。これにより脳の血液の流れが悪くなってしまう虚血性脳血管障害の診断やその治療前後の評価、認知症や精神疾患の診断および治療効果判定に利用されています。
その他心臓の筋肉における血流を検査する心筋シンチ、ホルモン異常を調べる副甲状腺シンチや副腎シンチ、腎臓の機能を検査する腎シンチなどあげればきりがないほど検査の種類が多い分野です。
画像を扱う検査は他にX線検査、MRI検査、CT検査、超音波検査(エコー)などがありますが、これらは体の組織の形や大きさを写真にして観察する検査です。対して「核医学検査」は前述のように臓器の働き具合(機能)を調べる検査で、患者様の病状を正確に把握し、より適切な治療方針を決定するため、また治療後の経過を的確に観察するために施行され、必要とされています。
最後に被ばくについてお話ししたいと思います。微量とはいえ、体内に放射性物質を入れるので誰でも不安が生じると思います。一般的に核医学検査では1回の検査で1~15mSv被ばくがあると言われていて、ICRP(国際放射線防護委員会)の報告によると当院の骨シンチは4.44mSvの被ばくがあると考えられますが、同機関の報告ではおよそ200mSv以下での放射線被ばくの影響は確認されておりません。また、女性の方で妊娠していたとして胎児に影響が起こる可能性があるのはおよそ100mSv以上の被ばくを受けた場合ですので、多く見積もっても核医学検査で影響を及ぼすことはありません。
放射線科の受付に被ばくに関する案内をご用意しておりますので、核医学検査に限らず疑問な点はいつでもご質問ください。今回のご説明と共に参考にしていただき不安なく検査を受けていただければ幸いと思っております。
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