手指のしびれを患っていらっしゃる方は比較的多いのでないでしょうか?しびれの原因となる疾患は、整形外科でもいくつかあります。
しびれ を訴える患者さんが整形外科を受診されると、基本的にまず神経の障害を疑います。しびれの範囲によって、脊髄(神経の本幹)なのか抹消神経(本幹からの枝分かれ)障害が原因なのか、ある程度予想できます。今回は比較的多い抹消神経障害である、手根管症候群にスポットを当て、説明をさせていただきます。
手根管とは手のひらの真ん中にある、神経1本と腱9本が一緒に走るトンネル(くだ)を言います。その神経が、なんらかの原因で障害(圧迫)される病気が手根管症候群です。多くは同居する腱が炎症を起こして腫れたり、トンネルの壁(骨や靭帯)が厚くなることによって、神経の通り道が狭くなり引き起こされます。
症状は、親指から薬指半分の手のひら側がしびれます。最初は軽いしびれですが、徐々に悪化してくるとジンジンするいわゆる神経痛に変わってきます。特に、夜中の痛みは睡眠も妨げるようになります。また進行すると、親指の付け根の盛り上がり(母指球筋)が平べったくなり(萎縮)、物をつかむ時に落としやすくなります(つまみ動作の障害)。
症状から手根管症候群を疑った場合、診断を確定するため感覚検査、電気刺激による伝導速度検査を行います。自覚症状と検査結果を合わせて、内服で経過をみるか、手術を行うかの治療方針を決定します。手術は局所麻酔による10分程度で、神経の圧迫を解除して環境を整えるという方法です。神経の回復にはある程度時間を要するため、術後しばらく経過観察します。基本的に日帰り手術で行いますが、希望あれば入院も可能です。
あくまで手根管症候群はしびれの原因の一例で、また一概に手指のしびれが全て整形外科疾患とは限りませんが、持続、悪化する症状でお困りの方は当科でも相談を承りますので受診されて下さい。
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