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かゆみについて


皮膚科部長  稲 晃市郎

皮膚科にかかる患者さんで訴える症状の多くが“かゆみ”です。

“かゆみ”を呈する疾患としては、虫刺されやカブレによる接触皮膚炎などの湿疹性病変、皮膚の乾燥、薬剤による影響、内臓疾患(肝硬変や腎不全)などのベースとなる原因がある場合もありますが、原因がよく分からない“かゆみ”も数多く経験します。
皮疹が生じている場合の“かゆみ”はその皮疹を治療すれば良くなるのですが、皮疹の生じていない“かゆみ”を良くするのは難しい場合も多いです。

「“かゆみ”の原因は何ですか?」よく診察中に質問されます。
 「内臓が悪くてかゆい?」 A.もしそうなら肝硬変か腎不全の可能性があります、皮膚科受診の前に健康診断などで指摘されているはずです。
「食べ物が原因?」 A.もしそうなら子供の頃からその食物を食べた時にかゆみが生じているはずです。
“かゆみ”の原因、正直わかりません、まだ“かゆみ”の原因については解明されていないためです。ただ、皮膚は人体の表面を覆っているため、いろんな刺激を受けます。その刺激で“かゆみ”が生じていることが多いです。どなたでも経験したことがあると思います、例えば、前髪が頬に当たってかゆい!襟が首に当たると痒い、下着のゴムで締め付けられた所がかゆい!身体が温もってくると、特に布団に入り身体がポカポカしてくるとかゆい!!そういった刺激で“かゆみ”が生じることが圧倒的に多いのです。

“かゆみ”というのは、掻けば掻くだけかゆくなり、掻いていると他の場所までかゆくなってくるというたちの悪い性質を持っています。塗り薬だけの処方を希望される方が多いのですが、そういった皮疹はないけどかゆい!という場合は内服薬が有効なことがあります。

季節としては春や秋は涼しく快適なため、“かゆみ”も落ち着くことが多いです。夏と冬は“かゆみ”の季節となります。
夏は暑く、汗をかくために、冬は大気が乾燥し、皮膚の乾燥がより強くなるため“かゆみ”が襲ってきやすくなります。その際には皮膚科受診をご検討ください。

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