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顎変形症治療とは


第3歯科口腔外科部長  高山 裕司

顎変形症とは文字通り、顎(上顎、下顎)の変形で、その変形に伴う顔貌変形と咬み合わせの異常を主症状とする疾患です。その病態の成り立ちは、特定の疾患を除き、先天性疾患ではありませんが、いずれも成長の異常によるものであり、顎の過成長や劣成長により特に下顎が大きくなったり(受け口)、逆に小さくなったり(顎が小さい)、左右で成長量が違って、顎が曲がってしまい(顔面の非対称)、併せて咬合にも異常をきたす疾患です。いずれにおいても、成長過程に起こるものですので、学校検診で指摘され受診されることが多いのですが、近年では、学生だけでなく30~40歳代の受診が多くなっているのも現状です。

現行の健康保険制度において、その治療は、顎変形症と診断され、術前に歯の矯正治療を行い、その後に手術をする場合は健康保険で治療できることになっていて、入院手術に際しては高額医療費制度の適応も受けられます。(逆に言いますと、歯列矯正をしない場合は健康保険適応外になり自費の治療になります。)施設基準としましては、矯正歯科と口腔外科の連携治療になりますので、どちらも、国の認可を受けた施設でなければならず、もちろんのことですが当科は認可を受けています。

当科では顎変形症治療に力を入れており、症例数は年間約30~40例で、新潟県内では、大学病院を除くと唯一の施設となっていて、新潟県だけでなく富山県や長野県、石川県からの来院もあります。治療の流れとしては、まず、当科を他院からの紹介で受診していただくか、矯正歯科専門の医院からの紹介で受診していただき、診査・診断して治療の概要を決定し、その後は矯正歯科で術前矯正治療を行います。それが終了しますと、矯正歯科の先生から当科に再度、ご紹介いただき、手術内容、手術日程を決定していきます。入院期間は手術内容により若干の差はありますが、おおむね2週間程度であり、当科では、近年、下顎の術式で、下顎枝垂直骨切り術(IVRO)を積極的に取り入れ、以前に行っていた下顎枝矢状分割術(SSRO)よりも合併症頻度も少なくなっていて、低侵襲な手術が可能となってきています。詳しくは受診の際にお話ししますので、なんなりとご質問ください。

この治療では、咬み合わせだけでなく、顔貌も治療できることから、もともと悩んでおられる方がおられましたら、直接当科を受診していただいても構いませんし、それよりも、かかりつけ医もしくは矯正歯科専門の医院を受診していただきご相談され、当科を紹介受診されると治療がスムーズに行われると思いますので、一度、受診してみてください。

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