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当院での人工関節置換術


整形外科副部長  髙橋 康人

厚生労働省の発表によると、2016年の日本人の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳であり、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す健康寿命が、男性72.14歳、女性74.79歳とされています。これは支援や介護を必要とする期間が、男性で約9年間、女性で約12年間あることになります。歳をとっても自分の身の周りのことは、自分でできるようになりたいですよね。

高齢者の歩行能力の低下の原因となる疾患の一つに変形性関節症があります。これは、加齢とともに関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形してしまったりして関節に痛みが出てくる疾患です。痛み止めや筋力強化、装具療法などの外来治療でも良くならない末期変形性関節症の治療として、人工関節置換術があります。

人工関節置換術は、ダメになってしまった関節を取り除いて人工関節に置き換える手術です。人工関節は主に金属やセラミック、ポリエチレンなどでできており、関節の痛みの原因となっている部分を取り除くため、痛みをとる効果が非常に大きい治療法です。近年は、手術法や人工関節の材質などの向上により、非常に安定した術後成績を得られています。

現在、当院には5人の関節外科医が勤務しており、特に膝関節と股関節の末期変形性関節症に対して、積極的に人工関節置換術を行っています。2017年の当院での人工関節置換術は、膝関節は約100件、股関節は約60件でした。

当院では、CTデータを基にした三次元術前計画ソフトを導入しており、それを使って患者さん一人一人の入念な術前計画を立てることで手術成績の向上を図っています。また、最近は1~2週間という短期入院での人工関節手術(特に股関節の場合)が流行っていますが、高齢患者さんが多い当院では無理に入院期間を短くするということは行っておりません。リハビリ専門の回復期病棟もあるため、患者さんのペースに合わせてリハビリを行い、自宅での生活が十分できるようになってから退院をしてもらっています。もちろん、早期退院を希望される方には、それに合わせてリハビリを行うことも可能です。

膝や股関節の痛みで困っている方は、ぜひ整形外科に相談してください。また、いきなり手術は怖いという方もいるかもしれませんが、すべての変形性関節症の方が手術をしなければいけないというわけではありません。手術のタイミングや外来治療の相談についても、気軽に相談してください。

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