2本足で歩行する人間にとって、立った位置からの「転倒」は避けることのできない宿命かもしれません。人間は加齢とともに筋力の低下や、歩行障害、視力の衰えなど様々な要因が重なり、バランスを保ちにくくなっていきます。さらに病気や服薬によって転倒するリスクが高まり、思わぬ場所で事故が発生することもあります。転倒は寝たきりやロコモティブシンドロームにつながる重大な事故となる可能性があります。その危険性を前もって知り、対策しておくことが大切です。今回は転倒にかかわる情報と予防法についてご紹介させて頂きます。
高齢者が要介護となる主な原因は認知症が最も多く、次いで脳血管疾患、高齢による衰弱と続き「骨折・転倒」は4番目の多さとなっています。転倒の約5割は歩行中に発生しており、転倒経験のある高齢者の歩きは①歩幅が短い、②歩調の変動が大きい、③歩行速度が遅いという特徴を示しています。歩きが遅いだけでなく不安定な歩き方が転倒につながる可能性が考えられます。転倒の理由は、つまずき、滑り、めまいなどです。又転倒の場所は、自宅の庭が最も多く、居間、玄関、階段の順です。屋外だけでなく屋内にも危険が潜んでいます。電気コードに足を引っかける、カーペットや敷居などの段差に足を取られる、段差のない廊下やフローリングで足を滑らせることもあり、住環境を整えることも大事です。
転倒を予防する方法として①日頃からできる範囲で運動を行う。「椅子に腰かけての膝伸ばし」両手で椅子の端を軽く持ち、椅子から腿の裏が離れないように片足ずつ交互に膝を伸ばします。「椅子に腰かけて足先上げ」足裏がしっかり床に着くように腰かけ、踵は床から離れないように注意して両足一緒に足先を上げます。無理のない範囲で継続して行うことが大切です。②靴を選ぶ。すり足は転倒する危険が高くなります。サンダルではなく、踵の覆われた靴やバンドの付いた履物をお勧めします。又つま先が自然と反り上がる構造の物も転倒予防となります。③環境を整える。自宅内では、介護用品を活用したり、介護リフォームを行ったりすることで予防ができます。転ばぬ先の杖として杖や歩行器を利用することも役に立つと考えます。
皆様が少しでも長く歩いて過ごせるように、転倒しないように運動すること、環境を整えること、心掛けることは大切です。今回読んで頂いたことが、きっかけとなって頂ければ幸いです。
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