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臨床工学技士と透析室


主任臨床工学技士  髙橋 正裕

みなさんの中には、“臨床工学技士”という資格をご存じない方がいるかもしれません。“Crinical Engineering” 略して、CEと呼ばれる職種です。昭和63年(1988年)に臨床工学技士法が施行されてから32年となり、ほぼ「平成」31年史とともに歩んできたことになります。

近年、医療機器は高度化し、3~5年で新しい概念の医療機器が世に出てくると言われています。臨床工学技士は、そのような医療機器の操作・保守管理を通して、医師・看護師等を支援し治療にあたる、裏方的な存在です。
その医療機器の中でも「生命維持管理装置」と呼ばれる機器が、我々の業務の中心となります。「生命維持管理装置」とは、「人工心肺装置」「人工呼吸器」「人工腎臓」「ペースメーカ」等々、人間の生体機能の一部を代行する器械のことを言います。最近はテレビドラマでもよく見かけますね。

さて、当院では6名の臨床工学技士が在籍しています。その業務の中心は、腎臓の機能を代替えする「人工腎臓」いわゆる血液透析療法を行うことです。
人の腎臓は、胸椎と腰椎の間くらいの高さに脊椎を挟んで2対あり、重さは2つで300gほどです。その働きは体の不要物質を尿として排出したり、ホルモン等の必要な物質を分泌するなど、非常に重要な臓器です。しかし、その腎臓が様々な疾患等により機能しなくなってしまうと、「人工腎臓」での治療が必要になってきます。それが血液透析療法です。腎臓は24時間働き続けていますが、その代替えとなると週3回、1回4時間もの時間が必要になります。精神的・肉体的にも大変辛い治療と言えるのではないでしょうか。

平成29年末、全国で血液透析療法が必要な患者数は33万人で、年々増加しています。上越地域(上越市・妙高市)においては、6施設で血液透析療法が可能です。新潟労災病院透析室では、施設の拡充が必要と考え、一昨年、昨年と28床へと増床しました。
血液透析療法には電気ときれいな水が欠かせません。我々臨床工学技士は、地震や災害などへの防災対策・地域連携などをしっかり準備し、これからも患者さんの治療に全力を尽くします。

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