季節は暖かくなり気温も20度を超え、皆さんの活動性も上がる時期だと思います。そこで、元気に日々を過ごすことに潜むリスク「骨粗鬆症と骨折」に関わる話をします。
まず、我が国の総人口は2010年にピークを迎え、2050年には1億人を切るとも言われています。総人口が減る中で「65歳以上の者が増加する」ことにより高齢化率は上昇を続けます。1950年には65歳以上1人に対して12.1人の現役世代(15歳〜65歳)がいたのに対して、2015年には65歳以上1人に対して2.3人隣、今後はさらにそれが進むでしょう。
歳をとれば誰でも、骨密度が減り骨粗鬆症のリスクが高まります。骨粗鬆症は、日常生活でとても深く関わらざるを得ない病気です。なぜなら、「ただしりもちをついただけなのに」、「転びそうになって手で支えただけなのに」骨折をしてしまうからです。
骨粗鬆症に伴う骨折は脆弱性骨折と呼ばれ、脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折や橈骨遠位骨折などが挙げられます。その中でも大腿骨近位部骨折は特に重要な骨折と言えます。股関節痛や筋力の低下は歩行にも影響します。例えば歩行レベルが下がり活動性が低くなれば、認知症の悪化や誤嚥による肺炎、食欲の低下や血栓症など様々な合併症を引き起こします。これまで身の回りのことを自立していた方でも生活を介助する支えが必要になることもあります。
さて、この大腿骨近位部骨折を予防するためには、骨粗鬆症薬の普及が重要な効果を示しています。
新潟県における大腿骨近位部骨折の発生率は1985年から年々増加傾向でしたが、2010年をピークに減少しています。それには骨粗鬆症薬の普及が強く関わっていると推察されています。2010年で普及率は約10%、2015年で約15%と上昇しています。しかし、全国平均の約20-25%には至っていない状況です。
骨粗鬆症の予防のためには皆さんと医療機関の協力が大切です。まずは小さなきっかけでも構いません。当院では骨粗鬆症の検査を行っています、ぜひ相談してみてください。
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