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健診で早期に膵がんを発見できたら


健康診断部長  島矢 早苗

膵がんは早期診断の難しい、難治がん中の難治がんとされてきました。昨今はさらに患者数、死亡者数が増加しています。令和元年8月8日付の国立がん研究センターの発表では、がん治療成績(5年生存率)が全体に著しく向上しているのに(前立腺がん98.6%、乳がん92.5%など)、膵がんは9.6%です。

予後不良の最大の原因は、早期診断されることが少ないからだといわれます。理由のひとつに、膵臓自体の特殊性があります。全体が薄く、被膜がないので、がんは小さいうちから周囲に拡がりやすい。またすぐ近くに重要な血管があるので、手術が困難なことが多い。また膵臓は身体の深いところに位置しているため、詳細な検査が難しく、膵炎を併発したり、膵液の漏れから致命的な合併症が起こることもないわけではない。したがって、膵がんを早期にみつけるためには、無症状またはわずかな自覚症状のうちに検査を受けることが重要です。

膵がんの初期に、一過性にアミラーゼなど膵酵素の値が上昇したり、治療中の糖尿病が急に悪化したりすることがありますが、経年の健診データがあれば、比較が可能です。

画像検査の第一選択は、超音波検査です。健診結果の判定が「C」だったら(膵内嚢胞や膵管の軽度拡張ありといわれたら)、3ないし6か月後の再検査をお奨めします。「D」で腫瘤の疑いといわれたら、消化器内科を受診してください。“疑い”がすべてがんとは限らないので、CTやMRIも追加して精査を行い、対応を急ぐ病変か、それとも経過観察でよいのかの判断がなされます。胃の術後や肥満の方ですと、超音波検査だけではどうしても十分な結果が得られないことがあるので、状況に応じてCT等をお奨めします。

さらに、健診で異常がなくても食後のもたれ、上腹部の重圧感・鈍痛が持続している場合は、積極的に外来受診をお奨めします。

ひとりでも多くの受診者の方に、がんが早くみつかって命が助かってよかった、と喜んでいただけるような健診にしていきたいと思います。

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