ろうさいニュース

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アピアランスケア


がん化学療法看護認定看護師  佐藤 温美

自分の周囲にがん治療をうけている方が増えているかと思います。5年生存率も上昇し、32.5万人(厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」をもとに同省健康局にて特別集計)の方が仕事を持ちながらがん治療をされています。仕事と治療を両立させることは、治療に伴う外見の変化を意識してしまうことも多く、精神的負担が大きいと感じている方も多くいらっしゃいます。長い間、外見に現れる副作用は直接生命に関わらないことから優先順位も低く、医療者からの支援や情報も不足していました。しかし、平成21~23年度文部科学省科学研究費「がん患者の外見変化に対応したサポートプログラムの構築に関する研究」班が行った調査では、患者の97.4%が外見の変化とケアの情報は病院で与えられるべきと考えられていることも分かりました。がん治療に伴う外見の変化と言われて最初に思いつくのは、脱毛だと思います。その他にも、ニキビ用の皮疹・爪の障害・皮膚の乾燥・手足の皮がむける・手足の水ぶくれ・まつ毛が伸びるなど様々な症状があり、日々のケアを毎日行わないと治療を継続できない方も増えてきました。その様々な方に携わる医療者が増え、がん治療を継続されている方の多くが望んでいる外見の変化に伴うサポート体制が始まりました。

「外見」を示すアピアランス(appearance)。この言葉を用いて、外見関連のケアをアピアランスケアと定義し研修が行われています。研修には、「無添加」「過敏肌用」と表示されたものでスキンケアをおこなったほうがいいの?というような日々の疑問を解決する具体的な講義や、(特殊なスキンケアにこだわらなくても大丈夫です)ウイッグ装着方法や爪ケアの実践などがあります。目の前にあるたくさんのウイッグを触り一番高いと思われるものを選ぶクイズでは、研修参加者全員が外れてしまいました。私を含めほとんどの参加者は中ほどの値段のものを一番高いと認識していました。おしゃれ用のウイッグが多く市販されるようになり、人毛と人工毛の見分けがつかないくらい人工毛の技術が高くなっています。

がん治療と仕事の両立支援のお手伝いができる医療従事者が増えています。悩んでいることがありましたら、近くの医療従事者に声をかけてみてください。

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