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排尿症状に用いる薬のお話し


泌尿器科部長  小池 宏

当科の外来には、さまざまな排尿症状を訴えて患者さん・ご家族が来院されます。診察は、まず問診から始まります。次いで、内服している薬を確認して、尿検査や血液検査、超音波検査を行いながら理学的な所見を確認します。場合によっては、尿流動態を確認する検査や内視鏡検査を行って、どのような排尿状態かを診断して、治療に移ることになります。患者さんは70歳台以降の高齢者が多く、頭を含めて全身的な身体機能の低下に伴って症状が起こっていることが多いようです。

しかし、患者さんの中には排尿に関する薬が、すでに掛かりつけ医から処方されていることがあります。掛かりつけ医が患者さんの話をよく聞いてくれるためだと思いますが、尿が近いとか漏れて困るとかの訴えから投薬を始めたものです。「頻尿・過活動膀胱」の治療薬の中には、あまり高齢者には向かない薬もあると考えています。今回、薬剤部の協力を得て、排尿症状の治療薬についてまとめたものを作成しました。ご参考まで。私の考えでは、頻尿や尿失禁は確かに困る症状ですが、膀胱に貯まった尿を排出させることができることの方が、より重要だと考えています。

また、中高年の女性の場合には骨盤底筋体操を行うと、だいたいの患者さんで頻尿や尿失禁の症状に改善が見られることをよく経験しています。まずはお試しすることをお勧めします。

もちろん、若い頃のようにいっさい排尿に困ったり、排尿のことが気になったりしなかった状態に戻すことは、難しいと考えています。しかし、投薬を含めて、何らかの方法で日常生活に困ることなく過ごすことができることを目標にして治療しています。




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