ろうさいニュース

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(ろうさいニュース第17号掲載)

飛蚊症について
新潟労災病院 眼科医師  川端祐子

 飛蚊症とは目の前に物がチラチラと見える状態をいいます。
 これは目の中の濁りが眼底に写って見えています。目の中の濁りとは硝子体の濁りや硝子体の出血です。硝子体はどろっとした液体で目の動きとともに動きます。濁りの場 所や形はそのたびに変化します。また、濁りが隅の方に移動すると気にならないときもあります。テレビなどを見たり、人混みにいたりすると気にならないことが多いようです。白い部分を見たり(読書、障子を見る)青空を見ていると濁りが良く見えてきます。
また、硝子体の移動、牽引が網膜に刺激を与えて光が見えることもあります。これを光視症といい、暗いところに行ったときに気づくことが多いです。
 飛蚊症のうち、ほとんどの場合は生理的飛蚊症といって年齢による硝子体の変化で心配ありません。出血や網膜に孔ができるなどの変化でも飛蚊症がおきます。代表的なものとして次のような状態が考えられます。

  1. 生理的飛蚊症 硝子体の濁りは若い人でもあります。年をとってくると硝子体が液体状になってきて動きやすくなります。このため本来ある濁りが動きチラチラ見えてきます。年齢による変化で病気ではありません。
  2. 後部硝子体剥離 さらに硝子体が液体状になってくると硝子体が網膜より離れてきます。ある日急におこって、高度の飛蚊症が出現します。視神経の部分からはがれた硝子体が高度な濁りとなって長期に見えますが、時間がたつと網膜からさらに離れてきて飛蚊症を感じなくなってきます。50歳までは10%、60歳以上になると30%、70歳になると60%以上の人におきます。
  3. 網膜剥離 硝子体が剥がれるときに網膜を引っ張って網膜が剥がれてくることがあります。またこのとき網膜の血管が切れると出血を起こしてきます。
  4. 硝子体出血糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜裂孔、網膜剥離などで起きてきます。

 飛蚊症に気づいたら眼底の検査を受けてください。眼科で瞳を開いて周辺まで調べることが必要です。人間ドックなどで検査される眼底写真では眼底の周辺部までみることができません。必ず眼科で検査を受けるようにしてください。
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