ろうさいニュース

当院の理念
「働く人の健康を守り、地域の急性期医療に貢献します」

第48号
2006年7月1日

新潟労災病院
上越市東雲町1−7−12
TEL:025(543)3123
URL http://niirou.jp/

平成18年度診療報酬改定雑感

病院長  酒井 邦夫

 平成18年度診療報酬改定は、全体の改定率が−3.16%という過去最大のマイナス改定となりました。またこの度の改定では、急性期・慢性期の入院医療、外来医療、在宅医療などが抜本的に見直されたために、病院にとっては、単なる改定率以上に、厳しい選択と対応を迫られる内容となっています。本稿では、この度の改定に対する個人的な感想を述べさせていただきます。

1. 紹介率
 今から7〜8年前になりますが、某大学の附属病院長などを経験された学会の先輩から、これからの病院長は、@紹介率、A平均在院日数、B入外比率(外来患者数の入院患者数に対する比率)、この三つのキーワードをよく心得て経営すべきだと言われたことがあります。以来この言葉を絶えず念頭に置きながら病院運営を考えてきましたが、しかしこの度の改定で、紹介率を要件とする加算項目(紹介患者加算、急性期入院加算など)はすべて廃止となり、紹介率という言葉は地域医療支援病院の認定条件の中に残るのみとなりました。入外比率というキーワードに至っては、跡形もなく消えてしまったようです。全く予想外のことでした。
 当院の場合は、ようやく取得した紹介患者加算が廃止されたために、年間6千万円を超える減収となりました。また平均在院日数17日以内を達成することで今年度中に予定していた急性期入院加算も、水泡に帰すことになりました。合わせて年間約1億円の減収です。大変大きな痛手と言わざるを得ません。

2. 平均在院日数と医療連携
 紹介率というキーワードは消えましたが、医療連携の重要性が失われたわけではなく、むしろ武藤正樹氏(国際医療福祉大学大学院教授)が述べているように(保険診療61(3):232,2006)、紹介率という医療連携の指標が、平均在院日数に集約化されたとみるのが妥当のようです。
 現実に、入院基本料のランク付けにおいても平均在院日数が算定要件になっておりますし、新たに導入された地域連携クリティカルパスにおいても平均在院日数17日以内が加算の算定用件となっております。
 地域連携パスは、この度の改定でとくに注目されたものです。このねらいは、医療機能の分化と連携の推進にあり、急性期病院の平均在院日数短縮化を目指していることは明らかです。今回は対象疾患が大腿骨頚部骨折に限られていますが、平成19年度に予定されている第五次医療法改正では、脳卒中、がん、糖尿病、心筋梗塞などに拡大され、主要な疾患ごとに医療連携体制の構築を目指す、とされているからです。医療機関の連携による「地域完結型医療」の構築に向けての具体的な方法論が示されたことになります。前方連携並びに後方連携システムの構築が、今後ますます重要になるものと思われます。
 地域医療支援病院は、紹介率を条件とする優遇措置の中で唯一残されたものですが、紹介率60%以上、逆紹介率40%以上の条件はなかなか厳しいものがあります。当院も1〜2年前から、この資格取得を目指して頑張っておりますが、なかなか達成できません。しかしこの度の改定で加算点数が一挙に倍増されたことでもあり、更なる創意と工夫をもってチャレンジする必要があると考えております。

3. 看護師配置とDPC
 この度新しく登場した加算項目も含めて、急性期病院のこれからの経営指標となりそうなものはいくつかありますが、重要なものは、看護師配置、DPC、それに上述の地域連携パスや地域医療支援病院を含む地域医療連携、でしょうか。これらの項目は、国の一連の医療政策の流れからみて当然予測されたこととも言えますが、私の予想が的中したのはDPCの拡大くらいで、看護師配置による入院基本料の格差拡大は私の予想をはるかに超えるものでした。
看護師配置については、当院ではこの5月から区分B(10:1)のランクを確保できましたが、区分A(7:1)への昇格は当分困難な状況です。看護師確保の地道な努力を続けるしかないと考えております。
DPCは、当院でもこの6月から適用になりました。DPCにおいては、検査・画像診断の外来シフトや後発医薬品の採用、医療材料の見直しなど、コスト削減策が大きな課題となります。なおDPCにつきましては、本紙4月号(第45号)で紹介させていただいておりますのでご参照ください。

 以上、この度の診療報酬改定をめぐって、個人的な感想と考えられる対応策について、思いつくままに述べさせていただきました。最後に、病院が質の高い安全な医療を提供し続けるためには、財政基盤の確立が必須条件となっていることをご理解いただきますよう、お願いする次第です。


♪ 女性専用外来のご案内(予告) ♪

新潟労災病院では、平成18年8月1日より、「女性専用外来」を開設いたします。女性医師が、男性医師には相談しにくい身体的な症状や不安などについて、十分な時間をとって診察や健康相談を行います。診察の結果、専門診療科への受診が必要と判断された場合や、それぞれの症状に応じて、専門の診療科へ紹介させていただきます。「症状はあるけど、何科に相談したらいいかわからない」等の悩みをお持ちの方、どうぞお気軽に受診してください。

1.診察日:毎週火曜日午後2時〜4時
2.受診者の条件:女性(年齢16歳以上)に限ります。
3.受付:完全予約制
  当院医事課医事係(電話:025−543−3123、内線1233)へお電話でご予約ください。
4.診察料金:保険診療で行います。
5.担当医師:
 藤田加奈子医師(外科)
 石田 安代医師(内科)
 宮本 恭子医師(精神科)

 

☆ 勤労者予防医療部活動報告 ☆

 新潟労災病院勤労者予防医療部は、腰痛予防教室や講演会を開催し働く人の腰痛予防に努めてきました。今回、当院リハビリテーション科澤田小夜子理学療法士が「さくら聖母の園」で腰痛予防教室を実施しました。夕方6時から約1時間、内容は脊椎の構造・日常生活の注意・腰痛予防体操など計4回行いました。
 腰痛予防教室に参加を希望される方は、リハビリテーション科までお問い合わせください。1回1000円です。次回の開催日は、パート1・7月21日、パート2・7月28日です。


よろしくお願いします!(新任医師自己紹介) 

第6内科部長  日浦政明

 産業医科大学を卒業し、専属産業医や労災病院勤務を経験しながらふと気がつくと新潟県まで来ていました。消化器内科とはいえ、今はどこに行っても高齢者が多く、必然的に消化器病を見るよりも肺炎や脳梗塞などを診る機会が多かったように思いますが、新潟労災病院は消化器疾患もわりと多く臨床研究も含めた仕事を是非してみたいと考えています。宜しくお願いいたします。
精神科医師  宮本恭子
 6月1日より精神科で勤務させて頂いております。福岡県出身、平成13年に産業医科大学を卒業後同大学精神科に入局しました。昨年度の一年間は育休でひたすらのんびり子供と過ごす日々でしたし、九州以外で働くことは初めてですので、不安もありますが、早く病院やこの地域に慣れ、皆様のお役に立てればと思っております。どうぞ宜しくお願いいたします。
眼科医師   宮本秀久
 6月1日より西田先生の後任として眼科に勤務することになりました。平成12年産業医大を卒業後、大学病院、市立病院などの派遣を経験し、昨年1年間は名古屋で専属産業医をしていました。今回初めての地への赴任であり、不安な面もありますが、精一杯頑張っていくつもりです。どうぞ宜しくお願いします。
リハ科医師  萩原宏樹
 6月1日よりリハビリテーション科に勤務させていただいております。山梨県出身で平成11年に産業医科大学を卒業しました。卒後は関東労災病院、福島労災病院などで勤務してきました。新潟県のみならず北陸に来るのも初めてですが、早くこの地に慣れ、皆様のお役に立てるよう頑張っていきたいと思います。業務に関しても冬季の気候に関しても不慣れな点が多く、ご面倒をお掛けすることも多々あるかと思いますが、よろしくお願い致します。

 

☆ 医師交代のお知らせ ☆

転 入    わだ まさかず          
(7/1) 内 科 和田 真一 医師        
           
プロフィールについては、次号でお知らせします。
 


「みんなのひろば」

  どんよりとした梅雨空。体も重く、出かけるのも億劫になりますね。暗い色の空にくらべて、庭に咲く花々は、黄色に赤。「もう夏だよ」と誘っているようです。せめて、ちょっとすてきな色の傘でも買ってみようかしら・・・

 

7月に入り当院の近くでも笛や太鼓の音が聞こえてくると直江津祇園祭が近づきます。その祭りの元となる八坂神社はJR直江津駅北口通りの西側に鎮座する。スサノヲノミコト夫婦と八人の王子が祭られ、武勇・商売繁盛の神として信仰が厚い。福島城(港町)城主「松平忠輝公」が高田城へ移った時、八坂神社はそのまま直江津にとどまり、代わりに高田の祇園も執行することになった。これが現在の上越祭りの始まりである。

直江津小唄より
 夜の荒川神輿が下る、川は万灯の迎え船、祇園囃子の笛や太鼓で夜が明ける

 26日、高田から帰ってくる神輿を迎え、29日、八坂神社で執り行われる御せん米奉納は圧巻であり、一見の価値がある。それとは対照的に、静寂の中の八坂神社も趣があり、私の好きな場所である。

T.M

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