最近、病院内をはじめ学校や企業、その他の公共施設などで自動体外式除細動器(AED)をみかけるようになってきました。AEDとはどういったものか、ご存知でしょうか。
突然死の多くは心臓が原因であるといわれています。わが国での病院外での心臓の疾患による心停止は年間2〜3万件程と推定されており、1日あたり100人程の人が心臓による突然死で亡くなっているといわれています。
心臓による突然死のうち、70%を占める主な原因は心室細動といわれる不整脈です。心室細動では、本来リズミカルに規則正しく収縮している心室が、細かく震えた状態になってしまい、心臓のポンプとしての役割が果たせなくなります。一旦この心室細動になってしまうと、3〜5秒で意識を失い、呼吸も停止します。酸素を全身へ運ぶ血液の流れを再開させるためには、一刻もはやく「除細動器」と呼ばれる機械で心臓に電気ショックを与え、心臓の震えを止める必要があります。
心室細動発症後1分を経過するたびに、7〜10%ずつ救命率が低下します。すぐに除細動を行えば、高い可能性で命を助けることができますが、10分も経つと望みは殆どなくなってきてしまいます。救急車を要請してから救急隊の到着までは平均6.3分かかりますので、救急隊による除細動までは10分くらいかかってしまいます。つまり、心室細動になった人の命を救えるのは、傍らにいる貴方しかいません。
除細動器の使用はこれまで医師・看護師・救急救命士などにしか許可されていませんでしたが、わが国でも2004年7月に厚生労働省より見解が出され、AEDは一般市民にもその使用が許可されました。近年、製品化されたAEDは、コンピューターを搭載しており、自動的に心電図を解析して、除細動が必要かどうかを判断し、電気ショックの操作を音声メッセージで指示してくれます。
AEDの使用は簡単で特に資格を必要としませんが、いざという場面で落ち着いて対処できるよう、機会があればAEDの講習を受講されることをお勧めします。また、AEDの効果を最大限に発揮するためには心肺蘇生法(気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ)について知ることも重要です。一般向けの講習会なども多く開催されていますので是非参加して、大切な命を一人一人が守っていきましょう。
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