振動障害とは局所振動による障害のことで、工具や機械などの振動が主として手・腕を通して身体に伝達されることで生じます。手指や腕にしびれ・冷え・こわばりなどの症状が現れ、レイノー現象(白ろう指)を主症状とする末梢循環障害・末梢神経障害・運動器(骨・関節系)障害の3障害を示します。振動障害のため作業に支障をきたしたり、屋外での余暇活動が制限されたりすることもあります。上肢の関節障害は苦痛も大きく睡眠障害を生じる場合もあります。
振動障害は症状が重くなると治療に難渋するため、その予防が大切です。
作業環境では気象条件が影響します。屋外では特に防寒のため衣服に注意します。屋内では気温が下がらないようにし、暖房設備の整った休憩設備の設置が望まれます。
作業時には防振手袋を着用し、また日頃から工具等の整備を行い振動が強くならないようにすることも必要です。
職場体操は筋肉の疲労をとり身体の健康を維持するため、振動障害の予防に効果的です。作業開始前・作業の間・作業終了時に、首・肩・肘・手首・指の運動、さらに腰の屈伸・回転を中心とした体操を行い、各関節の動く範囲を最大になるように行います。毎日継続して行なうことが大切ですから、継続性を高めるため職場で集団として行いましょう。
日常生活では、栄養に配慮するとともに、糖・アルコール・塩の摂取を控えて下さい。適度な運動は血液循環を促進し神経機能の回復に効果的ですが、過度の運動はかえって症状の悪化を招くことがあります。喫煙は末梢血液循環に有害であり、振動障害が起こりやすくなることが考えられるため禁煙することも必要です。
寒冷刺激、特に全身を寒冷にさらすことは、症状を誘発しやすいばかりでなく、四肢の血液循環を悪化させる等、療養を行う上で問題があります。したがって住居の防寒・保温を良くし、衣服による身体保温の調節に注意します。なお、木綿・化学繊維の下着は汗をかくと保温効果が極端に低下するので、純毛製のものが良いです。また寒い日に外出するときは、カイロ等を携帯し保温に努めます。水泳・寒い日の釣り等、全身を冷やす行為はなるべく行わないようにします。
また日曜大工での振動工具の使用やバイクの運転等は、さらに振動を受けることになるので控えるようにします。
以上、たくさんの予防について書きましたが、それでも振動障害になることもあります。悪化させないよう健診を受けて、早期発見・治療するようにしてください。
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