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尿路結石の再発予防について

泌尿器科医師  信 下 智 広

 尿路結石は、部位によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と言われます。特に、尿管結石は、激痛を伴うことが多く、救急車にて搬送されてくる方もいます。これらの結石の治療は、部位によって異なりますが、保存的治療、内視鏡による手術、体外衝撃波結石破砕術などがあり、過去には、開放手術など侵襲の大きな手術を行うこともありましたが、最近ではほとんど行いません。このように、治療の進歩により結石が容易に除去できるようになったためか、再発予防について関心が薄れているように思います。今回は、結石の再発予防について、飲水と食事を中心にお話しします。
 飲水について、尿路結石症診療ガイドラインでは食事以外に1日2000ml以上の水分摂取を推奨しています。では、水分といっても色々あるので、どういったものを飲めばよいのでしょうか。結石の成分を調べるとシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムが多くを占めます。シュウ酸の少ない飲料を飲むのがポイントとなります。シュウ酸の多い飲料は、玉露を含む緑茶、ウーロン茶、紅茶です。多量に飲水するのであれば、ミネラルウォーター、麦茶、ほうじ茶などが好ましいでしょう
 食事については、生活習慣病、最近ではメタボリックシンドロームと呼ばれていますが、尿路結石症が合併することが多く、生活習慣を予防する食事が推奨されます。尿路結石の場合は、それに追加してシュウ酸の過剰摂取を控えることです。シュウ酸が多く含まれる食品としては、ほうれん草、たけのこ、チョコレートなどです。
 シュウ酸を摂取する場合は、カルシウムを同時に摂取すると腸管でのシュウ酸吸収が妨げられることから、ほうれん草を食べるなら、ちりめんじゃこをかけて食べたり、紅茶を飲む場合には、ミルクティーにすることが推奨されます。

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