がん(悪性腫瘍)治療の三本柱は手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療です。
当院は本年二月に地域がん診療連携拠点病院に指定され、九月より放射線治療も本格稼働開始致しました。今回は放射線治療について、というテーマでお話したいと思います。
放射線治療は、その名の通り放射線を使っての治療ですが、治療に使う放射線には幾つかの種類があります。
X線(胸部単純X線写真やCT検査で使われるX線より高エネルギー)や電子線、γ線、粒子線(陽子線や炭素イオン線など)などがあります。(当院での放射線治療は、X線と電子線を用いた放射線治療です。)
放射線治療では、放射線をがん病巣に照射することにより、がん細胞を死滅させる効果を狙います。放射線はがん細胞だけではなく正常細胞にも同じ作用をしますが、正常細胞はがん細胞より障害が軽いことを利用して放射線治療を行います。
放射線を繰り返し照射することにより、がん細胞に損傷を与え、がん細胞を死に至らしめたり、増殖能(細胞分裂をする能力)を失わせ、細胞を死滅させます。また、正常細胞は損傷を受けますが(副作用として出現)、ある程度、自己修復能力があるため、時間の経過とともに回復してきます。
放射線感受性(放射線の効きやすさ)はがんの種類によって異なります。例えば、同じ肺がんでも、小細胞肺癌と非小細胞肺癌では全く異なります。また、正常細胞も放射線感受性に違いがあり、放射線による副作用が出現しやすい臓器があります。なので、放射線の効果を最大限発揮させながら、出来るだけ正常細胞に副作用が出現しないような治療が必要となってきます。
そのため、当院では、呼吸同期撮影が可能な4列MDCT(治療計画用のCT)一台、最新の治療計画作成装置(CMS社、Xio)、治療装置一台(Varian社、CLINAC 21-EX)を導入し九月より放射線治療を行っています。一般的に治療は、一日一回で10〜30回行いますが、疾患の種類や患者さまの状態、照射する体積などで異なってきますので、患者さま一人一人にあった最適な回数を選択させて頂いています。
以上、放射線治療について簡単にお話しさせて頂きました。
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