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「運動器の10年」世界運動中・・・

第2リハビリテーション科部長  村 田  高

 循環器、消化器、呼吸器などは皆さんご存じだと思いますが運動器という言葉をご存じでしょうか?ご存じない方が多いのではないでしょうか?運動器は身体活動を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱、靱帯、骨、関節、神経、脈管系など身体運動に関わるいろいろな組織・器官によって構成されていて、人が自分の意志で活用できる唯一の組織・臓器です。しかしこれまで運動器の障害は直接生命の危険に至ることが少ないために話題性に乏しく、関心は高くありませんでした。運動器の障害頻度は極めて高く、生活機能を低下させ、QOL(quality of life)の低下を来たし、さらに生命予後にも多大な影響を及ぼし、社会に与える負担が大きいにも拘わらず、これまで社会的に重視されていないのが現状です。小児の運動機能障害、スポーツ障害、四肢・脊椎の外傷、腰痛、関節痛(変形性関節症やリウマチ疾患など)、骨粗鬆症とそれに伴う骨折、などいくつかの病気を取り上げても、ほとんどの人は子供時代から高齢にいたるまでのその生涯のなかで、なんらかの運動器に関する悩みや苦痛を経験し持っているものです。
そこで世界保健機関(WHO)は2000年から2010年を「BONE? AND JOINT DECADE」(運動器の10年)とし、世界各国と連携して種々の原因による運動機能障害からの開放を目指し、終生すこやかに身体を動かすことができるQOLの保証される社会の実現を目指すということになりました。(今年2009年、もう終わりかけてますけど・・・)皆さんはご存じないかもしれませんが、日本でも各地で講演会の実施、コツコツウォークの実施、啓蒙本の出版、中高齢者への運動器健康推進事業などさまざまな活動がされております。

この「運動器の10年」はあと1年で終わりますが、運動器の重要性を皆さんに認識していただきたいと思います。日本での要介護となる原因は1位:脳卒中、2位:老衰、3位:認知症、4位:骨折・転倒、5位:関節症です。これを見ても運動器の重要性は明らかです。最近「健康寿命」という言葉が世間で言われていますが、これは健康で自立して暮らすことが出来る期間で、いくら平均寿命が延びても最後数年を寝たきりで暮らすことになれば本人も家族も不幸です。この「健康寿命」を延ばすために一人一人が健康づくりを行い、生涯健康に暮らしていただきたいものです。

 

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