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アレルギー性鼻炎

耳鼻咽喉科部長  朝 日 香 織

 アレルギー性鼻炎は、発作的に繰り返す発作性反復性のくしゃみと水性鼻汁(みずぱな)、鼻閉(鼻づまり)を主な症状とする疾患です。アレルギーの主な原因物質(抗原)は通年性の症状を起こすダニやほこりと、季節性の症状を起こす種々の花粉です。抗原を吸い込むと発作性にくしゃみ、鼻汁、鼻閉を生じます(即時反応)。また、遅れて鼻の粘膜に集まってきた炎症細胞から放出される化学物質により、さらに鼻閉を生じます(遅発反応)。治療の第一歩は抗原の回避と除去です。さらに治療ガイドラインに従って、症状の重症度に合わせ、抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を使用しています。
以上のこういった治療で効果が得られない場合、手術治療をおこなっています。特に鼻閉鼻づまりの症状が強い方、薬の服用が難しい方は良い適応になります。近年、アルゴンガスをプラズマ化し、そこに高周波電流を誘導することで組織の凝固を行なう方法が開発され、アレルギー性鼻炎の治療に応用されるようになりました。腫れている下鼻甲介(鼻腔)粘膜を凝固・変性させ、収縮させます。下鼻甲介が収縮することにより、鼻閉が改善し、また、粘膜表層の粘膜分泌腺も凝固・変性させることにより、鼻汁水の量の減少も期待できます。電導性の高いアルゴンガス中の放電は電流密度が低く均一であるため、組織を浅く均一に凝固することができる上、従来使用されてきたレーザーのように灼けすぎて粘膜が炭化したり、灼けすぎて骨壊死を起こしたりする心配がありません。
手術は、局所麻酔薬をしみこませたガーゼを鼻内に挿入する表面麻酔でおこないます。手術時間は10分程度で、術中の出血はほとんどなく、鼻内の熱感、歯のしびれ感が軽度ありますが、強い痛みはありません。
手術後1週間から10日間はかさぶたの付着や、反応性の粘膜の腫れのため、鼻閉が増悪することがありますが、一時的なものなので、次第に改善します。
この手術は根治治療ではありません。アレルギーが治らなければ、凝固・変性した粘膜はまた再生して元の粘膜に戻るため、次第に効果がなくなってきます。再度症状が出てきて悪くなったら、この治療を繰り返し行うことができます。ただし鼻中隔弯曲症がある方は、下鼻甲介粘膜の焼灼だけでは十分効果が出ないので、鼻中隔矯正術をあわせて行う必要があります。
アレルギー性鼻炎で鼻水、鼻づまりでお困りの場合は、一度ご相談ください。

 

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