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血液内科診療開始のお知らせ

内科医師  安 山 浩 信

 本年4月より当院に赴任致しました血液内科の安山と申します。この度、7月より毎週金曜日の午前中に血液内科外来を開始することになりました。血液内科外来開設にあたり、血液内科診療の現状について説明させていただきたいと思います。
 血液疾患は主に、鉄欠乏性貧血、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、特発性血小板減少性紫斑病などがあります。悪性リンパ腫は不明熱の原因として少なくなく、骨髄異形性症候群も高齢者の貧血の原因として散見されるなど、急性期病院では以外と身近な疾患です。今回は、これらの中でも特に見受けられる鉄欠乏性貧血、悪性リンパ腫について説明させていただきたいと思います。
 鉄欠乏性貧血は、名前の通りに赤血球の材料である鉄が不足することによって起こり、症状としては息切れ、めまい、動悸などがみられます。治療は鉄剤の内服や注射と比較的簡単な貧血ですが、実は、体内の鉄というのは閉鎖回路で循環しているため、通常は鉄欠乏の状態にはなり得ません。原因として多いのは、女性の月経過多や妊娠による鉄需要亢進ですが、痔核や胃潰瘍などが原因であることもあり、さらには中年期以降の方では大腸がんなどの悪性腫瘍も原因として重要です。このように、鉄欠乏性貧血は最もありふれた貧血でありながら、消化管疾患、泌尿器科疾患、婦人科疾患など種々の病気が原因となり得る貧血であり、原因の精査が最も重要となります。
 続きまして、悪性リンパ腫についてです。悪性リンパ腫は、白血球の成分であるリンパ球ががん化したものであり、症状としては、主に首や足の付け根のリンパ節腫脹で自覚されます。胸部や腹部のリンパ節など身体の深部に潜んでいることもあり、不明熱の原因としてもよく見られる病気です。治療に関しましては、抗癌剤による化学療法(と放射線療法)が主になりますが、最近登場したリツキサンは悪性リンパ腫の治療成績に大きく影響を与えました。リツキサンは従来の抗癌剤とは違い、よりピンポイントに腫瘍を攻撃できる作用を持っており分子標的薬と呼ばれています。副作用も少ない薬ですので、高齢者の方などにも身体的負担はほとんどありません。このリツキサンと従来の抗癌剤を組み合わせることによって、一部の悪性リンパ腫は治癒が目指せるようになりました。
 血液疾患は全身検索が必要であったり、(悪性疾患におきましては)数日のタイムラグが命取りになったりすることもしばしばです。しかし、様々な新しい治療薬や治療法も開発されてきており、適切な早期診断・早期治療が重要であることは、他の分野の病気と同様です。
 最後に繰り返しになりますが、7月より血液内科外来を開始致しますので、何か血液検査データ異常等ございましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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