ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

放射線による健康被害


内科部長  森 山 裕 之

 福島原発事故による健康被害に関しては、様々なメディアを介して報道されていますが、かなり悲観的な記事=週刊現代 かなり楽観的な記事=週刊ポストなどがあります。また、単位の使い方が問題になります。おぼえていただきたいのはミリシーベルト、以下mSVと略しますが、これが人体にあたえる影響を表しますので基本となります。1000μ(マイクロ)SV=1mSV 1000mSV=1SVです。 0.01mSV/時であれば24時間なら0.24mSVが、被曝を受けた総放射線量となります。CTでは1回8mSVで、CTより低くて安全というより、CTそのものの被曝量が、高いのです。
 できれば1年間年間曝露量は1mSV以下が推奨されています。現在は災害時で20mSV/年以下が許容される一般人の年間曝露量となっています。したがって20×1000/365日/24時=2.28μSV/時をこえる放射線量が発表されたら要注意です。ちなみに、4/19福島県浪江町で21.8!南相馬市0.54 東京新宿0.073 新潟市0.046μSV/時でした。
 人体にあたえる影響は100mSV/年でがんの発生率が0.5%程度上昇すると考えられています。これは1000人に5人ががんになるということで、これがなくても日本人は50%ががんになるので、50.5%になるだけ=ポストの論法 1000万人なら5万人がんが増加する=現代の論法 ようは同じことなのですが。
 前述のように現時点では一般のひとの許容される年間暴露量が20mSVとされています。福島県浪江町ですでに積算値が18.94mSに達していることを文部科学省が発表しています。もちろんこれは24時間外部にいた場合の放射線量ですが、食料などによる内部被曝が加算=足し算されますのでかなり危険と考えられます。
 現時点ではチエルノブイリでの小児における甲状腺癌の増加以外は、被曝と発がんのはっきりしたデ−タ−はないようですが、安全である保障もありません。長期曝露自体が前代未聞なのです。避けられる危険はさけるべきだと考えます。そのためにも政府、国による細やかな積算放射線量などの情報公開が重要と考えられます。専門家でない呼吸器内科医のまとめですので間違い等ありましたら指摘してください。

このウィンドーを閉じる