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肺癌について 〜特に検診について〜


呼吸器外科部長  岩 浪 崇 嗣

 平成22年人口動態統計より日本人の死因の1番は肺癌であり、それは1998年より続いています。罹患率で1番多いのは男性が胃癌で女性は乳癌にもかかわらず、死因の1番が肺癌なのは癌自体の悪性度の違いや、治療法などいろいろな要因が考えられますが、1つに診断が困難なことがあげられます。検診で発見された癌のうち治る癌の割合は胃癌が約70%、子宮頚癌が約90%以上であるのに対し、肺癌では約30%程度であるからです。
 現在行われている一般的な肺癌検診の検査項目は問診と胸部X線写真、それにハイリスク患者には喀痰細胞診検査を併用するのが一般的です。
 なお、ハイリスク患者とは@危険因子を持つ者(喫煙、閉塞性肺疾患、アスベスト症などの吸入性肺疾患、肺癌の既往歴や家族歴、年齢:50歳以上、など)。A肺癌にみられる症状を持つ者(咳嗽、喀痰、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛といった呼吸器症状および転移病巣による症状)のことを呼びます。
 肺癌検診の検査のうち、胸部X線写真による肺癌の検出感度は、80%程度で、比較的早期の小型腺癌の検出率は23%しかありません。また、喀痰細胞診の検出感度は36〜40%にすぎません。検出頻度を上げるため・早期に発見するためにいろいろなことが試みられていますが、現時点で胸部CT検査を追加するのが一般的と言われています。胸部CT検査では、肺野結節の検出能は病変の大きさに依存し、6mm以上の大きさの結節では約95%の検出能が得られると報告されています。胸部CT検診の問題点として安全性、経済性、件数処理能力などがあげられます。その中で特に留意しなければならないのは安全性すなわち放射線被曝の問題です。CTの低線量化を図って、できるだけ被曝線量を少なくするように努力が試みられています。
 検診を受ける際に、御自身または御家族がハイリスク患者に該当すると思われる方は胸部CT検査を追加で受けられてみてはいかがでしょうか?(なお、当院の肺癌癌検診コースでも胸部CT検査は受けられます)

 
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