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大腸がんは予防できる病気です!!


消化器内科部長  前川 智

 本年5月18日同様の演題名で、市民公開講座を行いました。内容は重複するかもしれませんが、重要な話ですし、来られなかった方もいらっしゃると思いますので、大腸がんの予防について述べたいと思います。
 つい最近、芸能人の坂口良子さんが大腸がんで亡くなられました。57歳という若さでした。まだ命を落とすには早いと誰もが感じたのではないでしょうか。私達消化器内科医師は、日々大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をしていますので、このような進行大腸がんの患者さんにしばしば遭遇します。実際にわが国での集計では女性のがんの死因の第1位ですし、男性は第3位となっています。
 このような大腸がんは未然に防ぐことができないのでしょうか?
 決してそんなことはありません。ある程度若い時期から定期的に大腸カメラをうけることで、例外を除けば、進行大腸がんになる前の段階の大腸ポリープや早期大腸がんで発見することができ、外科治療も行うことなく、内視鏡治療で治癒することができます。
 しかし、いくら大腸カメラの必要性を患者さんに伝えても、「症状がないから大丈夫」「検診で便潜血検査を受けているから十分でしょ」「大腸カメラは痛いらしいから嫌です」などなど、私達の懸命の説得に応じて頂けない方が多数いらっしゃるのが現状です。症状がないから大丈夫ということは全くありません。症状が出るときのほとんどが進行がんで、場合によっては末期がんのことがあります。また、便潜血検査は、便の中の見えない血液を試薬で調べる検査ですが、大腸がんがあっても出血していなければ異常なしとなってしまいます。実際、毎年便潜血検査をまじめに受けていたにも関わらず、進行大腸がんになってしまった患者さんが多数いらっしゃいます。
 進行大腸がんになってしまうと、手術で取りきれたとしても、今後転移してくる可能性も十分あります。大腸がんの抗がん剤治療も進歩していますが、2-3年の延命を期待できる程度です。進行大腸がんでみつかる患者さんのほとんどが、それまで大腸カメラをしたことがない患者さんであり、やはり40歳をすぎたくらいから、1〜2年に1度大腸カメラをうけることおすすめします。
 大腸カメラは痛いから嫌だという患者さんがまだいらっしゃいますが、内視鏡医の技術の進歩、内視鏡自体の良化にともない、以前と比べてかなり楽になってきています。
 内視鏡が発達した日本にいて、大腸がんで命を落とすのは非常にもったいないことだと思います。今からでも遅くないです。進行大腸がんになって慌てふためく前に、大腸カメラをうけてみませんか?

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