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結核について


内科医師  古塩 奈央

 皆さんは、結核と聞くとどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。昔の病気、うつる病気、怖い病気…などなど。でも、実際に結核がどのような病気なのか、詳しくはわからないという人も多いのではないでしょうか。
 結核は昔大変流行っていて、昭和25年まで日本の死亡原因の第1位でした。結核の治療薬が開発されてからは患者数は減少していますが、いまでも年間2万人以上の新しい患者が発生し、年間2,000人以上の方が結核で命を落としています
 結核は、結核菌という細菌が体の中に入り、主に肺に感染することによっておこる感染症です。人が咳をすることで、結核菌が空気中に飛び散り、それを他の人が吸い込むことによって「感染」します。結核菌を吸い込んでも必ず「感染」するわけではありません。多くの場合、体の抵抗力により追い出されます。また、「感染」しても必ず「発病」するわけではありません。加齢や他の病気による体力低下などで抵抗力が落ちた時に、抑え込まれていた結核菌が再び活動をはじめ、「発病」することもあります。
 結核の初期症状は、咳、痰、発熱(微熱)など風邪と似ています。ただしそれが2週間以上続いたり、よくなったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と違います。肺結核の診断は、X線撮影、喀痰(かくたん)検査などで行います。結核の治療はほとんどが薬による治療です。決められた薬をきちんと飲み続けることが重要です。標準的には3〜4種類の薬を6ヶ月間服用しますが、病状や経過によって長くなることもあります。全身状態が悪い時、症状が強い時、あるいは周囲に感染させるおそれがあるときは入院治療が必要となります。他の人に感染させる恐れがある患者さんでも、きちんと治療を受けると2~3か月後には排菌がなくなり、外来治療へ移行することができます。
結核は今もたくさんの人がかかる病気です。症状が悪化すると周囲の人にうつしてしまうこともあり、そのまま放っておくと命にもかかわります。しかし、早期に発見すれば周りにうつす恐れも低く、適切な治療を受ければきちんと治る病気です。咳、痰、微熱などの症状が2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診してください。

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