ろうさいニュース

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突き指について


整形外科副部長  後藤 剛

 今までにいわゆる突き指を経験された方は大勢いると思います。その「突き指」の中にはしっかりと病院で治療を行わないと指の第1関節(遠位指節間関節)が伸びなくなる怪我が隠れていることを知っていますか?
 槌指(つちゆび・ついし)またはmallet finger(マレット指)と言われる怪我です。この怪我は、指の第1関節において指を伸ばす機構が損傷されることで生じます。指を伸ばす腱(伸筋腱)の損傷だけで生じたり、指の一番先端の骨(末節骨)に骨折を伴うことで生じます。原因としては、野球などのボールで指先を突いたり、転倒時に指先を地面で突いたりした、いわゆる突き指の怪我の仕方と同じです。また、風の強いこの地域では強風に煽られた車のドアに挟み生じることがあります。症状は指の第1関節が曲がったままで腫れ・痛みがあり自分で伸ばそうとしても伸びません(自動伸展不能)。ただし他の指で手助けをしてあげると伸びます(他動伸展可能)。第1関節が曲がった状態で、自分では伸ばすことが不可能であり、他の指で手助けをすると伸ばすことが可能であれば診断がつきます。レントゲン撮影を行い、末節骨の骨折を合併しているかどうか確認します。治療方法は、損傷された病態、受傷してからの期間などにより色々あります。腱だけの損傷によるものでは、金属の板(アルフェンスシーネ)などを用いた保存療法(固定期間は6〜8週程度が目安)が基本ですが、第1関節の屈曲角度が大きい場合は腱縫合などの手術加療を必要とする場合があります。また、骨折を伴う場合は鋼線による固定、金属のPlate(プレート)を用いた手術療法などがあります。いずれの治療にも一定期間の固定を行っている間、その後にリハビリを十分行うことが必要になります。治療方法については、病態まで診断した上で、しっかりと相談をしてから決定します。出来るだけ元通りに近い第1関節の動きを得るためには早期治療が大切です。突き指の中に隠れている槌指を放っておかないようにしましょう。突き指後に指の伸展が困難な場合は早めの受診をお勧めします。

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