近年のパソコンやインターネットの普及と同時に、歯科分野においても、デジタル化が進んでいます。当院における、昔(10年前)に比べ大きく進歩した、現在の作り方をご紹介します。
先端技術であるインプラントの補綴物(歯部分)においても、10年前は、金合金を鋳造し、その上に白い樹脂、もしくは陶材を被せて製作していました。ワックス(蝋)で歯の原形を作り、そこから製作した鋳型に、高温で溶かした金属を流し込む、ロストワックス法と呼ばれる製法です。また、お口の中の様子を再現する模型は、練って固まる材料で型取りした歯型に、石こうを注いで製作していました。
それに対して現在は、パソコンソフトを使って歯の原型をデザイン(CAD)し(図1)、そのデータを基に切削機械で削り出して(CAM)製作しています(図2ab,3)。この機械による加工が出来るようになったことによって、ジルコニア(高強度セラミックス)やチタン(硬い金属)を材料として使用することが出来るようになりました。特にジルコニアは、ダイヤモンドに近い硬さを持っているので、そのままでは加工が難しいため、硬くなる前の状態の材料を約20%大きな状態で加工し、約1500度のオーブンで焼くことで硬くしています。(焼くことで20%縮みます。)約20パーセントと書きましたが、その数値は材料ごとに正確に管理されていて、現在使用しているものは、1.233です。小数点第3位まで計算して製作しています。
また、治療途中で使う仮歯も、CAD/CAMを利用して、圧縮して成型された樹脂材料から削り出して製作することで、飛躍的に精度と強度が向上しています。お口の中の模型は、口腔内カメラで撮影したデータからCADで設計し、3Dプリンターによる樹脂造形に変わりました(図4,5)。
10年前の製法も現在の製法も、それぞれに利点がありますが、現在の製法の方が精度が良く、強度と耐久性に優れています。少しでも長く、安心してお使い頂けるように、これからも新しい技術を取り入れて製作していこうと思っています。
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