いつも放射線写真の撮影にご協力いただきありがとうございます。
今回は放射線科で撮影する画像の中で最もポピュラーなエックス線写真の原理と撮影時に検査着に着替えていただく理由をお話ししたいと思います。
◎エックス線写真ってどういう原理なの?
エックス線写真(レントゲン写真)は、私たちの体や物の中にあるものを見ることができる特別な写真です。まるで体や物の中を透明にしてくれる魔法のようなものですね。
エックス線写真は、エックス線と呼ばれる特別な光を使って撮影されます。エックス線は、私たちの目では見ることができないけれども、体や物の中を通過することができます。
エックス線写真を撮るにあたって、特別な機械でエックス線を作ります。この機械からエックス線が出て、私たちの体や物に当たります。そして、通り抜けたエックス線を体の後ろにあるフィルムやデジタルカメラでつかまえて写真にするというのがこの検査の原理です。
手でつくったキツネを照明の光に当てて出来た影で影絵をした経験ありませんか?照明の光では手の輪郭しか影になりませんが、体や物を通り抜ける性質のエックス線を使うと皆さんが目にしたことのあるエックス線写真になるのです。
以上が、エックス線写真の原理についてのホントに簡単な説明です。エックス線は私たちに見えないものを見るための特別な光であり、私たちの体の中や物体の中を探すことができます。
◎着替えが必要な理由は?
エックス線撮影の際には、検査着に着替えていただく必要があります。透かし絵ですのでエックス線が通り抜けた物は衣類1枚から写真に映し出されますが、医師は着衣が画像に含まれていないという前提で写真を見ているからです。現在のエックス線写真は、高精細に撮影できるため、筋肉や脂肪組織まで診断できます。しかし、その高精細性ゆえ、衣服の模様やしわまで映り込んでしまいます。また、ズボンの裾のたくし上げや、締め付けの強い服を着用した場合、筋肉や脂肪組織の形を変えて写真を作ってしまいます。そして服が映り込んだ写真や異常な形の筋肉が映った写真で他院に紹介された場合、それらを説明できない状態で診断されることになるので、先のことを考えても検査着に着替えていただくことが必要なのです。
ここに私たちの着ている白衣を撮影した画像を表示します。
左は上着です。ボタンは分かりやすいですが胸ポケットが写っているのが分かりますか?右は白衣のズボンです。ファスナーは金属なのではっきり移りますがベルトの通し帯やたくし上げたシワがたくさん重なっているのがわかりますか?これら服の画像がレントゲン写真に重なっていたら先生方も見難いですよね。
私たち放射線技師は、患者さんに有益で誤診のないようにするために、検査着を準備しています。もちろんこの検査着も映り込んでいますが影響が少なく、写り方が予想可能なので診断に影響ないように対応できるのです。
患者さんは、来院時に何を着てこられても構いません。有益な検査のために検査着に着替えていただけると幸いです。これからも有益な検査のためにご協力お願い致します。
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