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運動器超音波診療(エコー)


整形外科副部長  酒井 瑛平

みなさんエコーって聞いてなにをイメージしますか?赤ちゃんをみるのに使いますね。心臓もエコーで動きを評価できます。

「え、運動器?どこをみるの?なにを診るの?」

なかなか実感が湧かないかもしれません。近年、超音波装置やプローブの改良が進み、組織の細かいところまで描出できるようになりました。痛みを引き起こす腱や神経の動きまで可視化できるようになりました。ここ10年での進歩は目覚ましく、ブラウン管から4K以上に高画質になっています。

ところで、みなさんは整形外科にかかったことがありますか?「腰が痛いです」「膝が痛いです」という痛みに対し、手術適応があればウキウキ、手術適応のない患者さんには「はい、痛み止めと湿布」という対応をされたことがあるかもしれません。ここにエコーが登場し、痛みの原因を可視化、注射によりピンポイントで介入し対応できるようになってきています。

約10年でエコーの画質は格段に進化を遂げ、筋肉、腱、神経など今まで見えなかったものが見えるようになりました。これにより「なぜ痛いのか、なにが痛いのか、どこを治療すればよいか」という痛みの本質により深く迫れるようになりました。

しかしエコーには一定の技術、知識が必要であり、まだまだ整形外科領域では普及していない現実があります。レントゲンだけでは分からない、しかしエコーを使うことで救える患者さんが多くいる。もっと多くの医師にエコーを使ってもらうことで、痛みに困っている患者さんを幸せにできるかもしれない。そう考えて、日々エコー片手に格闘している毎日です。

「エコーがあればなんでもできる!」そんな事はまったくありませんが、エコーを使うことで見えてきた、新しい事実に日々驚いています。エコーは一つのツールですので、ほかの検査との使い分けが非常に重要です。レントゲン、CT、MRIなどそれぞれの強い部分と弱い部分を十分に理解して診療しています。エコーの強みとして、リアルタイムで動きがみられること、そして手軽さが挙げられます。診察室でパッと使って診断がついて、治療までできたら素晴らしいですよね。

今まで良くならなかった肩の痛みや首の痛み、膝の痛みなどに、エコーを駆使して介入できるかもしれません。すべてのツールを駆使して、特にエコーの強みを生かした診療で、一人でも多くの患者さんを幸せにできればと思います。
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