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遺伝カウンセリング


放射線診断科部長  島矢 早苗

遺伝医学の急速な進歩により成人の腫瘍、心血管系の遺伝病や高血圧、糖尿病などの遺伝的要因が解析できるようになりました。個人の遺伝学的情報は肉親と一部共有されており、子孫に遺伝する確率も比較的正確に予測されます。

遺伝カウンセリングは、遺伝に関する不安や悩み、疑問に対して科学的根拠に基づく正確な医学的情報を提供し理解していただくために行います。例としては発症前診断、出生前診断などです。発症前診断としては、一般的には若年性のがんの人、乳がん・卵巣がん症候群など種々のがんが多発している人とそのご家族は、遺伝性かどうかを調べた方がいいと思われます。突然死や原因不明の心筋症の人の肉親で、現時点では健常であるが将来発症するかどうか知りたい人も同様です。出生前診断は、選択的中絶など医学的にも社会的倫理的にも留意すべき多くの課題がありそうです。

遺伝要因の多くは未知であり発症には環境要因も大きく関わるので、たとえ検査結果が高リスクでも必ず発症するわけではありません。特別な家系の特別な問題ではない、陽性を得たら今後の対策に生かせることを知っていただきたいです。大学病院や高度医療機関を中心に遺伝子医療部門が設立されていますので、まずはかかりつけの医療機関に相談してみてください。
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