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MRI検査の安全性


診療放射線技師  荻原 義貞

脳や脊椎を中心に多くの部位の検査が行われているMRIですが、X線を利用しているCTとは原理が全く異なり、磁場を利用している特徴があります。そのため、検査室入り口には厳重な磁気シールドが張られ、MRIの装置は検査をしていない(音がなっていない)時も24時間電源が入っており、常に磁場の環境にあります。検査室に入室する際は多項目の金属チェックの問診票を記入していただいています。MRI検査は有用な検査ではありますが、安全性を担保したうえで検査する必要があり、この点についてお話ししたいと思います。

まず、静磁場と呼ばれるものの影響です。筒状の装置自体を強力な磁石と考えてください。例えば、ネックレスを手に持って入り装置に近づくと装置に向かってピンと張った状態になり吸引力を感じることができます。小さな金属類であれば人間の力で抑えることは可能ですが、酸素ボンベや車椅子など大きな金属部分の付いた物を持ち込んでしまうともはや抑えることはできずに装置に向かって飛んでいって吸着し、大きな事故になってしまいます。また、機器類が壊れてしまうこともあります。腕時計や携帯電話、財布(クレジットカード)などを誤って持ち込むと使用できなくなることもあります。

次に、電磁波による影響です。MRIは体に電波を当て、返ってきた信号を利用して画像を作ります。その際、手術で体内に埋め込んだ金属や体表の装飾品、金属を含んだ一部の貼付薬の周囲に熱をもつ可能性があることが知られています。骨の手術で埋め込まれた金属の情報を知ることで我々技師も火傷にまで至らないように検査の肢位や撮像法を工夫することも可能です。アイシャドーやつけまつげなどのメイクアップ用品でも火傷の報告があり、できる限り取り除いた状態での検査が望ましいとされています。最近では、鉄粉の入ったネイル(マグネットネイル)に関して事前の問い合わせをいただき、お店で取り外してから検査に来ていただいた事例もあります。

問診表ですべての製品を網羅することは困難なため、その他にも疑問に思われることや不安に思われることがあれば事前にお問い合わせいただければ幸いです。今後も、患者さんの不利益にならず、かつ安全な検査を心掛けたいと思います。
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