ホワイトニングとは、広義では歯を白くする処置の総称ですが、狭義では歯の漂白(ブリーチ)を指します。歯の漂白は、歯を切削することなく薬剤を用いて化学的に歯の色を改善できる低侵襲な治療方法です。
その歴史は、文献によると1850年まで遡ることができます。そして21世紀の現在でも、多くの人々が希望する歯科処置のひとつです。時代は変わっても、「より美しくなりたい」という願望は変わらないようです。
さて、具体的なホワイトニングの方法にお話を移します。
ホワイトニングには“オフィスホワイトニング”と“ホームホワイトニング”があります。“オフィスホワイトニング”は歯科医院(=オフィス)の中で行う方法です。3.5%〜35%の過酸化水素水を主成分とする薬剤を歯に塗布した後、光を一定時間照射します。短時間で効果が得られるところがメリットです。
それに対して“ホームホワイトニング”は、歯科医師の指導のもとで患者さんご自身が行う方法です。専用のトレー(患者さんのお口に合わせて作成したマウスピース)を用いて、ご自宅(=ホーム)で薬剤をトレーに入れ、毎日数時間、歯列に装着して歯を白くする方法です。使用する薬剤は10%過酸化尿素で、安定した漂白効果と自然感のある白さを得ることができます。
“オフィス”と“ホーム”は、それぞれメリットがありますが、両方を組み合わせて行うデュアルホワイトニングでは、さらに効果が長持ちします。
一方、過酸化水素の分解酵素であるカタラーゼをもたない無カタラーゼ症の方は、ホワイトニングが禁忌です。また、妊娠期や授乳期の女性は、母体への悪影響を示した報告はありませんが避けた方が良いです。小児も原則として行いません。
また、ホワイトニングは処置後のメインテナンスが悪いと、すぐに元の色に戻ってしまったり、歯の質によっては希望通りの白さにならない事もあります。そして、保険診療ではありませんので、金額は歯科医院によって違いがあります。始める前には歯科医師や歯科衛生士から、そのメリット・デメリットに関する説明をしっかり受けるようになさって下さい。
本年5月から、当科でもホワイトニングを始めました。徐々に希望される患者さんが増えてきており、年齢を問わず効果を実感していただいております。マスクを外す機会が多くなってきた昨今、皆様もいかがでしょうか?いつでも当科へご相談下さい。
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