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抗てんかん薬


脳神経外科部長  青木 悟

最近15年くらいで抗てんかん薬が次々に発売され、効果は十分で副作用の少ない薬、他剤に影響を及ぼさない薬が増えてきています。今回は一部の主要な抗てんかん薬について、僕の印象をまとめました。これらの薬を内服している方は参考にしてみてください。

フェニトイン(商品名ヒダントール、アレビアチン)、フェノバルビタール、カルバマゼピン(商品名カルバマゼピン、テグレトール):肝臓の代謝酵素(Cytochrome P450、UDP-glucuronosyl transferaseなど)を誘導し、他の薬剤の血中濃度を変化させる。新規に処方する場合、今でも脳卒中後や頭部外傷後の部分てんかんにカルバマゼピンは良く使いますが、フェニトインやフェノバルビタールはもうほとんど使いません。

バルプロ酸(商品名バルプロ酸、デパケン、セレニカ):全般発作の第一選択で、小児期発症のてんかんで使用される頻度が多い。妊娠可能年齢の女性が内服する場合、胎児への催奇形性があります。

レベチラセタム(商品名レベチラセタム、イーケプラ):主に部分てんかんに使われる薬。薬剤相互作用がなく、多剤併用が必要な高齢者には特に使いやすい。ただ易怒性、眠気、認知機能低下など精神症状がやや出やすい印象。最近ブリーバラセタム(商品名ブリィビアクト)という新薬が登場し、レベチラセタムと同等の効果、精神症状の少ないとのこと、今後薬剤の入れ替えが進むかもしれません(新薬は長期処方ができないため、暫くの間は使いにくい)。

ラモトリギン(商品名ラモトリギン、ラミクタール):全般てんかんの第2選択薬。胎児への催奇形性はないとされ、妊娠可能年齢の女性に使いやすい。ただ重症の皮疹の合併が多く、使い初めには特に注意が必要です。

ラコサミド(商品名ビムパット、ラコサミド):特殊なナトリウムチャネルブロッカーで、追加の薬剤として使用しやすい(単剤でも使用可能)。副作用も少ない印象でしたが、自分で担当した患者さんにうつ状態の副作用が出現し、薬剤変更をしました。

抗てんかん薬は、薬剤変更時にてんかん発作を起こす場合もあり、症状が安定している場合には無理に変更する必要はありません。しかし高齢者では多剤併用の必要がある方も多く、そのような場合は薬剤変更が妥当かもしれません。気になった方は主治医と相談してみてください。
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